1.八幡平山頂のレストハウスで足止め
9時47分、天気を心配しながらも盛岡駅から八幡平行きのバスに乗る。八幡平頂上バス停までは約2時間だが、頂上が近づくに連れてガスが濃くなり、到着するとほとんど視界が効かない。
あたりが暗く呆然としていたら、親切な御仁がシャッターを切ってくれた。予期せぬ状況に加えて風もありで、頭髪は爆発状態。
どうにも動きようがなく、まずは腹ごしらえをすることに。
レストハウス名物の山菜麺をいただきながらも、予想外の悪天候に相棒の表情はさえません。
待つこと1時間半、ようやく明るくなってきた。しかしまだ小雨が降っていて、山頂へ行くべきかどうか迷っている。
2.八幡平山頂に向けて
雨が止んだので出発。まだ誰も動こうとしない状況での行動開始ではあるが、天候が悪化すれば直ちに引き返そうと決しての出発だ。
コース随一の展望台もこの有様。せっかくの「八幡平の山なみ」解説ボードも、このガスではまったく役に立たない。
途中に設置されているトイレと、この先にはトイレがないのでここで用を足すようにとの丁寧な説明板。
少し進むと、可憐なアザミがひっそりと咲いていた。
見通しの悪い細道を進み一角に踏み込んだとたんに、むこうが霞んで見えないガマ沼と出くわした。
見えない水面は、沼が無限に広がっているように錯覚させる。その沼の水が足元の道を越えて流れており、ひたひたと下方へこぼれ落ちていく。大地が少しでも揺れたら、この流れが急に増えたらどうなるか・・・・。自然の畏怖に背筋が寒くなった一瞬、この1枚をデジカメに収めるのが精一杯だった。
恐怖の後は高山植物のお出迎え。このコントラストは凄い!
ついに山頂に到着。Vサインと万歳でお祝い、よかったよかった。
頂上の標識に手を添えて1枚。それにしても、標高1,613mもの山頂にあって雨傘とこんな軽装とは、何やら非常識な感じではあります。
戻りは周回コースをたどる。めがね沼の片方が見えてきた。霧の彼方に目を凝らすと引き込まれそうな感じがする。
めがね沼のもう一方はさらに霧が深い。その中で、岸辺の木々と磨りガラスのような池の面が、自分たちだけのためのシンメトリックな空間を演出している。
帰着した頂上バス停付近は、出発時と同様に深いガスに覆われて見通しが悪く、バスの遅延が心配された。
やがてバスに乗ると、10分も下らぬ間にガスは消滅して風景が驚くほど明瞭になった。遥か彼方の山並みには雲が沸き立っている。