1.出発~スタート地点(伏見稲荷駅)
時間を稼ぐために、岡山駅から8時28分の新幹線のぞみに乗り姫路駅には8時43分に到着。ここから新快速に乗り換えて京都へ向かう。
新快速がやや遅れた影響でJR稲荷駅着は11時頃になり、当初の予定より30分遅れる。コースのスタート地点は京阪伏見稲荷駅なので、まずはそちらへ向けて歩く。駅の左側のポスト傍にトレイル道標①が立っていた。
スタートは11時10分。伏見稲荷駅から参道を伏見稲荷大社へと進む。ちょうど京都ツーデーマーチが行われており、その手前にチェックポイントが設置されていた。大勢のウォーカーが足早に通過していく。テントのにこやかなスタッフと、やや張り切り気味のウォーカーの表情が対照的だ。
2.伏見稲荷大社~天皇陵
これが、全国に3万社といわれる稲荷神社の総本宮だ。さすがに素晴らしい。
スタート直後とあって相棒は元気な様子。右手のビニール袋にはコンビニ弁当が収まっている。
大勢の参拝者とウォーカーたち。参拝を終えて奥に向かって歩き始める。
有名な千本鳥居。その名のとおり千本近くあるらしく、奥の院へ向けてびっしりと並んでいる。しかもここでは、さらに左右二列に分岐している。
千本鳥居をくぐり抜けていくと奥の院に着いた。
さらにいくつもの鳥居をくぐり坂道を進んで行く。
やがて進行方向の左に、熊鷹社(くまたかしゃ)のある新池(別名こだまケ池)が見えてくる。
そして三ノ辻には、鎮座1300年記念大祭と奉賛願いの看板。伏見稲荷にとって今年は記念すべき年だ。
「きつねうどん」「わらび餅」「あまざけ」などの店が並ぶ趣のある通りを過ぎる。その先にも、まだ鳥居と階段が続いている。
最後の鳥居群を抜けると、四ツ辻に至る。時刻は11時40分なので、スタートからちょうど30分経過したことになる。ここからの展望は素晴らしい。
階段を登ると荒神峰(こうじんみね)がある。鳥居の額束には「権太夫大神」と記されている。
ここで行き止まりのように感じるが、社の裏側に回り込むと道が続いていた。このあたりからの眺望は四ノ辻よりもさらに広角になる。
何やら奇妙なものが祀られているので大急ぎで通り過ぎると、比較的おだやかな道に出た。
途中にはこんな消防栓もあり、道標4をチェックしさらに進んで6に到達した。
このあたりから宮内庁管轄地になり3人の親王の墓がある。
3.泉涌寺~今熊野観音寺
やがて泉涌寺(せんにゅうじ)が見えてきた。間もなく12時30分だから、1時間20分が経過したことになる。歩数計は8,350を示している。
ほぼ予定どおりに捗っているのだが、泉涌寺の参拝は門外からにとどめる。美しい本堂が印象的だ。
すぐ近くに今熊野観音寺があり、ウォーカーの一団が進んで行く。道標7が見えてきた。進路を右側にとって反時計方向に回り込むのだが、その前に今熊野観音寺へ立ち寄ることにする。
あざやかな朱塗りの橋を渡って並木道を行くと、途中に「頭の観音さん」という道標が立っていた。「ぼけ封じ」の御利益があるそうだ。
観音寺本堂に参拝してから元の位置まで引き返し、コースを進むとすぐに道標8に出会う。しだいに民家が近くなり、気がつけば向こうに京都タワーが見えていた。
4.剣神社~清水寺南分岐点
住宅地に差し掛かると、いきなりネクタイを締めた道標9-1が現れた。近くの剣神社に向かっていたら、やさしそうなお爺様が「そっちは反対です」と教えてくれる。
そんなことで、剣神社は鳥居の外から参拝してトレイルコースに戻る。ここで午後1時になり1時間50分が経過。歩数計は10,530。お腹がすいてきたが食べる場所が見つからない。
道標11が見えてきた。ウォーカーが手前の階段を上って行く。地図を見るとこの先は蛇行した山道が続く。このあたりから本格的な山歩きが始まりそうだ。
少し行くと、京都女子大学が設置した「京女鳥部の森」の看板がある。後で調べたら、近畿中国森林管理局が森林環境教育を目的に、国有林を「遊々の森」と称して学校等と協定を結ぶもので、それを記念した看板だ。
急坂を登って行くと、ところどころに伐倒木をビニールシートで包んだものが置かれている。赤い縁取りの注意書きが貼られていて「カシノナガキクイムシくん蒸作業中です。ビニール等にふれないでください」の記載。広葉樹に被害を与える害虫対策をやっているわけだ。
急坂を乗り越えて道標12・13をやり過ごすと、しだいに標高が下がってくる。やがて東山ドライブウェイに出た。
国道1号線に合流すると猛烈な車の流れだ。その1号線を地下道で渡るのだが、少しばかりややこしいルートのようである。
これがその地下道。まだまだ元気そうなVサインの相棒の先を、別のグループが歩いている。
ところどころの判りにくい場所では、住民の善意の案内板が助けてくれる。ありがたい。
やれやれ、地下道をくぐり抜けたら、今度は急な階段が待っている。で、次の道標16-1が、今回のコース外ウォークのトリガーになった。清水山へのルートを迂回して、清水寺に参拝しようということになったのである。
5.清水寺参拝~道標19への合流
しばらく歩いていくと三叉路になり、右の坂道から大勢の人たちが下りてくる。言葉から、外国人の観光客が多いように思われた。
坂道を上っていくのは私たち二人だけで、観光客の間をすり抜けながら進むとこの眺望。
坂道を上りきるとこの景観。なんとも懐かしい京都ならではの風景だ。
やはり清水寺へ来てよかったなぁ、と迂回コースの選択に大満足。
清水寺の隣には、今まで知らなかった地主神社がある。ジヌシではなくジシュと読む。元のコースへの復帰は、地主神社の鳥居の右側細道を直進する。
細道の先にはゲートがあって、午前6時から午後5時半までは通り抜けができるようになっている。
かなり急勾配の坂を登っていくのだが、途中には道標がなく不安になってくる。やっと現れた道標にホッとする。
さらにこんな道をひたすら進むと道標19に対面。これで元のルートとの合流に成功だ。
6.東山山頂公園~尊勝院
清水寺からここまでの道程はけっこうきつかったけれど、人影が見えたことに安心してパチリ。ところがまだこんな坂道が続き、しかも空腹で力が入らない。
おお、ついに道標21番。東山山頂公園に到着だ!! \(^o^)/
時刻はすでに午後3時。手前に見えるテーブルに弁当を広げて遅い昼食をとる。休憩用の東屋には数人の先客が楽しそうに盛り上がっている。食事をしている間に、途中でしばしば出会った5~6人のおじさんグループもやってきて大賑わいとなった。
お腹が膨らんでホッコリモードのところを、相棒がシャッターを切った1枚。
山頂公園展望台から南西に広がる風景は素晴らしい。ところが、土地のご老人に話しかけると、ここからの風景は最悪であると言われた。「何しろビルしか見えない」からだそうで、「本当に良い景色はこれから進む途中にあるのだが、多分わからないだろう」とイケズの弁。
青蓮院門跡(しょうれんいんもんぜき)に入ると右側に大日堂があり、正面に将軍塚が見える。これは8世紀末に、桓武天皇が平安京造営に当たって王城鎮護のために造った塚だそうで、天下に異変があるときはこの塚が鳴動して前兆を知らせるという伝説があるとのこと。大変なものを見てしまったのだが、どうみても普通の石のようで・・・。
粟田口、知恩院方面を示す道標を少し進むと道標24がある。ここから尊勝院・粟田口方向に進んで行く。
ブラボー!! 下り坂の途中に山側に向かう細道があり、それを登ってみたら北に絶景が広がっていた。この位置から判断すると、雪をいただいた辺りは比良山地のようだ。これがイケズ爺さんの言っていた絶景に違いないと確信する。
急な下り道が続く。こんなに登ってきていたのかと膝っ小僧が驚いている。そんな折り、まるで町歩きのような軽装のご婦人(黒い上下を着こなした美人)が、軽快に通り過ぎていった。ふ~む、この辺りの住人は天狗の血が混じっているのかも知れない。
後から迫ってきた若いカップルに道を譲って、落ち葉に足を取られないように下っていくと道標27に出合う。尊勝院はすぐ近くのようだ。
尊勝院は、うっかりすると見過ごしてしまいそうな位置にある。細い階段を上がって、ルートは境内を横切るように続いている。本堂で参拝していると、先に道を譲ったカップルが引き返してきて急ぎ足で通り過ぎていった。
7.粟田神社~蹴上駅
道標28番。そろそろコースの終わりが近づいてきた。粟田神社(あわたじんじゃ)の石鳥居から階段を登ると、不思議な風景が広がっていた。
後で分かったのだが、これは「大燈呂」を保存しているもののようで、そのうちの「出世えびす」だった。10月の大祭にはこの舞台(舞殿)に大燈呂を移動して祀り、夜渡り神事ではいくつかの大燈呂と共に「京風ねぶた」として氏子地域を練り歩くそうである。
これが粟田神社の本殿。境内から平安神宮を望むことができる。ここからの眺めで、ようやく位置関係が明瞭になってきた。
粟田神社を下りたところに道標29があり、ゴールの蹴上に向けて直進する。
道標30-1は今回の最終ポイント。車の多い道路を挟んで向こうにインクラインが見える。
こうして午後4時35分、地下鉄東西線・蹴上駅に無事到着した。のんびりと風景を楽しみながら22,800歩ばかり歩くことができた。帰りは岡山まで青春18切符を利用する。その前に、京都でしっかりと腹ごしらえの楽しい時間を!
次回はここを起点に、インクラインから大文字山を目指す予定だ。