名 称

片鉄ロマン街道 (2/3)

地 域

岡山県

距 離

約22km

日 付

2011年10月19日

天 候

快晴

同行者

相棒と

マップ

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

赤磐市吉井支所 10:39吉井おおまち公園 11:29コンポストセンター 12:09
苦木駅(昼食)12:34~13:05大芦高原分岐 13:34備前矢田駅 14:12和気町佐伯庁舎 14:22
陸閘門 14:53天神山トンネル 15:22天瀬駅 15:39和気鵜飼谷温泉 16:30(JR和気駅)

1.吉井中学校前バス停~コンポストセンター

 林野行きのバス(宇野バス)に乗車して吉井中学校前で下車する。このバス停は、以前に片上ロマン街道を柵原吉ヶ原まで歩いたときの始点になった、赤磐市吉井支所に隣接している。近くのスーパーマーケットで昼食の弁当やおやつなどを調達して、ここからスタートだ。

 後方には城山公園の城型展望台が見えている。吉井川に向かうと中村区の標識が立ち「この付近の河川は私たちが清掃美化しています」とある。中村区の皆さん、ありがとう。

 片上鉄道跡のロマン街道に出て番念寺橋を渡る。番念寺は中世の寺だが現存せず詳細は不明で、五重塔などの石塔が民家の庭先に残されているらしい。

 右側にコンクリート製品の工場がある。吉井川はとても穏やかで、川面に周囲の山々を映している。

 国道374号と484号の分岐点から374号へと進む。この辺りで吉井川は大きく蛇行しており、振り返ってその様子を眺める。

 左手に赤磐市消防署北出張所があり、その先にはコスモスが満開だ。

 コスモスの奥には「吉井おおまち公園」と駅舎を模したトイレが設置されているが、ここはパスして備作大橋を渡る。

 ちょうど中間あたりに赤磐市と和気町の境界があり、吉井川は進行方向右側に流れを変える。

 「ようこそ りんごと丹頂の里 和気町」の標識がお出迎え。この地にはタンチョウ飼育施設を設置した岡山県自然保護センターがあり、標高約400メートルの三保高原には観光りんご園がある。ロマン街道は国道に沿って延びている。

 国道に出てしばらくは歩道を歩く。ほどなく「塩田ふれあい会」の標識、みなさん、ありがとうございます。

 再び廃線跡の街道にもどって真っ直ぐな道を進む。右側には、緩く蛇行する川向こうに小さな山と桜並木が見えている。

 平成12年3月31日の日付で「杖谷邑跡」の碑が建つ。片上鉄道の杖谷駅があった場所である。現在はホームや隣接していた民家は完全に撤去され、跡地は和気・赤磐共同コンポストセンターになっている。コンポストセンターは下水道等の汚泥を微生物利用で分解して肥料化する施設である。後で知ることになったが、このセンターは最先端モデル事業として30億円を超える公費を投じて建設されたが、ランニングコストが民間に比べて3倍以上もかかり、結局12年ほどを経た昨年に閉鎖されたそうである。

 美しい田園風景を行く。向こうに苦木駅が見えてきた。

2.苦木駅~備前矢田駅

 苦木駅に着いた。昔ながらの駅舎である。駅舎の椅子に弁当を広げて昼食にする。ホームには、廃線の年の春、桜咲く苦木駅を走る気動車の写真が飾られ、「河ノ瀬の石堤」の説明板が立つ。

 片鉄ロマン街道はサイクリング道でもある。というよりサイクリングが主流である。前を自転車の二人連れが走っている。今日はすでに数人と出会っている。古びた農家が見えてきた。納戸と思われる部分の外壁に扇と瓢簞の窓。おそらく空気の流れをよくする湿気対策のものであろうが、数寄屋を思わせる粋に嬉しくなる。

 右下国道の「南山方口」バス停の傍に、「三保高原スポーツ&リゾート」への分岐路がある。さらに大芦高原温泉や観光りんご園、高原の館ロマンツェなどの案内板が並び、旅情を駆り立てられる。

 右に吉井川と川沿いの国道を見ながら歩く。左手にベンガラ工場跡がある。建物が赤茶けたベンガラ色に染まっているのですぐそれと分かる。ベンガラ色の壁を緑の蔦が覆っていて、不思議な雰囲気を醸し出している。

 街道が緩やかにカーブして、何とも懐かしい信号機の姿。

 備前矢田駅に到着した。駅舎はなくプラットホームだけが残っている。こんな車両が止まっていてシャッターを切る。

3.和気町佐伯庁舎~天神山トンネル

 苦木駅でのランチタイムを除けば歩き通しである。「和気町役場佐伯庁舎」へ出向いてトイレを借用し、小休止する。

 矢田駅からしばらくの間は信号機や電柱がいくつも残っている。写真は通信線を張る木製の電柱で、雨による傷みを防ぐためにキャップを被り、配線用の陶器製碍子(ガイシ)を支えている。その先、和気町佐伯庁舎から約30分ばかりで、進行方向に堅牢な構造物らしいものが現れた。陸閘門(りくこうもん)である。片上鉄道の線路が吉井川の堤防にくい込んだ形状になっていたため、増水時に扉を閉じて、線路からの浸水を防ぐために建設されたものである。銘板に「型式:スイングゲート、純径間x有効高:6.0m x 2.8m、製作年月:昭和57年3月、施工:同和工営株式会社」と刻まれている。

 すぐ先の川沿いに東屋が建ち「大舟着川市跡」とある。ここが何なのか判然としないのだが、高瀬舟による水上運送が発達していた川だから市でも立っていたのだろうか。街道は国道を横断して続く。

 国道脇の幅広い側道を進むと、前方に佐伯天神山の雄姿が現れた。道は吉井川の流れに沿って緩やかに右へカーブする。

 石鳥居の奥に小さな社があり、扁額には天石門別(あまのいわとわけ)神社。備前焼の狛犬と和気清麻呂像が立つ。

 神社の前は「河本」バス停だ。少し進んだ山側に「天神山城跡」の大きな文字が掲示されている。

 高い木の枝についた食べ頃の柿の実を写す。川の方に顔を向ければ、遠くに新田原井堰が見えている。

 一帯は険しい天神山の姿を吉井川に映す「天神淵」と呼ばれる景勝地だが、この位置から天神山の影は窺うべくもない。天神山トンネルを通り抜けて進む。

4.天瀬駅~鵜飼谷温泉~JR和気駅

 天神山トンネルから15分少々で天瀬駅に着く。よく整備されたプラットホームの上に、美しい駅舎がもとの姿のままに保存されている。

 天瀬駅を出て5分、すぐ近くに新田原井堰が見える。

 天瀬駅から35分、黄金色の稲穂波打つ海の向こうに和気アルプスがそびえている。和気鵜飼谷温泉の建物が次第に大きくなる。

 16時30分、鵜飼谷温泉に到着した。これからゆるりと温泉で汗を流し、疲れをほぐしてビールで乾杯だ。