Ⅰ. インストールに必要な環境・機材

 一連のインストール作業をするために必要な環境と機材について解説します。

1.インストール環境

 OSのダウンロードやインストールはすべてWindows PCから行います。インストール後の開発や運用も、基本的にWindows PCからリモート操作で行います(もちろんRaspberry Piでの単独運用も可能です)。したがってMacユーザーの皆様には、一連の作業の進め方は参考になるかも知れませんが、インストールやリモート制御のためのソフトは別途検討していただく必要があることをご承知ください。
 その他の環境要件としては、有線LANと無線LANの両方が使用できること。インストール用PCからインターネットに接続できることが必要です。

2.Raspberry Pi側

①Raspberry本体

 新規に購入するのなら「Rspberry Pi2 Model B」にしましょう。古い「Pi1」つまり旧名の「Rspberry Pi Model B」があればそれでもOKです。Pi2では、搭載しているCPUが従来の「BCM2835」から「BCM2836」に変わり動作周波数も700MHzから900MHzにアップ、メモリーは1GB、CPUコア数が1個から4個に増えて性能が大幅に向上しています。
 右側にUSBポート4個とイーサネットポート1個。手前には給電用MicroUSBポートとモニター用のHDMIポート、ヘッドホン/ビデオ端子が付いています。サイズはどちらも同じで短辺は名刺とほぼ同じ、長辺は名刺より5mmほど短くなっています。参考までに、2016年2月現在の価格は税込みで5,000円少々です。

〔注意〕

 その後2016年3月にRaspberry Pi3が発売されました。CPUが64ビット(従来は32ビット)、動作クロックも1.2GHzとさらに高性能になっています。Raspberry Pi財団のアナウンスによると、Pi Bと比較して10倍、Pi2とでは1.5倍パフォーマンスが上がったとしています。価格はPi2と同じ35ドルですが、国内価格は2016年5月時点で5,000円台から6,000円少々まで幅があるようです。Wi-Fi(無線LAN)とBluetooth(近距離無線通信)機能が標準装備されましたが、消費電力がアップしています。



②USBマウス

 インストール時だけに一時的に使用します。あり合わせのものがあればOKです。

③USBキーボード

 インストール時だけに一時的に使用します。あり合わせのものがあればOKです。

④モニター(ディスプレイ)

 HDMI対応のものが必要です。Raspberry PiとはHDMI-DVI変換ケーブルで接続します。ケーブルはAmazonで次のものを購入しました。
    Amazon製 タイプAオス-DVI24pinオス 3.0m (2016/03現在で税込998円)
これらもインストール時だけに一時的に使用するので、あり合わせのものがあればOKです。HDMI対応ディスプレイがない場合は、格安中古品で間に合わせるのがいいかも(私はそうしました)。

⑤カードリーダー/ライター

 Raspberry Piはディスクドライブの代わりにSDカードを使用します。起動用システムやOS、長期保存のデータなどはすべてSDカードに記録されます。カードリーダー/ライターは、ダウンロードしたOSをSDカードに書き込んだり、SDカードの内容をパソコン側へバックアップするために使用します。
 左下の写真は「iBUFFALO製 高速カードリーダー/ライター」でAmazonで購入しました。2016/03現在の価格は税込518円です。  

⑥microSDカード

 容量が16GB以上でスピードクラスが最速のClass10のものを選びます。Class10では10MB/sec(80Mbps)の転送速度が保証されています。なお余裕があれば32GBのものがお勧めです。
 Raspberry Piとの相性についての意見が多いので、今回はKSYでRaspberry Piの購入と同時に次のものを購入しました(写真右上)。
    Team microSDHC 32GB CL10 アダプタ付き  \1,836(税込)
 なおこれとは別に、2年以上前にAmazonで購入した「Transcend SDHCカード 16GB Class10 (2016/03現在では \820)もRaspberry Pi1上で健在です。

⑦USB急速充電器

 今回のRaspberry Pi2購入と再インストールの動機となったRaspberry Pi1不調の原因は、これの性能劣化でした。DC 5.0Vの電源供給用に電流容量1Aの充電器を購入してPi専用として使用し、電力消費の大きい無線LANアダプタなどは別のセルフバスパワーUSBハブを使用していたのですが、この充電器が劣化してカーネルパニックを起こしていました。
 起動時にはモニター上におびただしい量の起動情報が表示されますが、それが途中で消えて、再表示されます。つまり何度も再起動されて、表示が無限ループに陥った状態になるのです。Amazonに下記のものを緊急発注し、これに取り替えると問題なく作動、古いPi1も正常に動作しました(写真左下)。
    Anker 10W USB急速充電器 ACアダプタ 出力2A
    Amazonベーシック USB2.0ケーブル 0.9m (タイプAオス- マイクロタイプBオス)  1式  \1,497
 電流容量も倍になり、無線LANアダプタをボード上のUSBポートに差し込んでも使っても問題ありません。カーネルパニックはSDカードとの相性でも発生するらしいのですが、電源まわりは特に電流容量に余裕があるものを選択してください。

〔注意〕

 Raspberry Pi3は最大消費電力が12.5Wのため、出力が2.5A以上のACアダプタが必要になります。対応アダプタが少ないので注意して下さい。

⑧無線LANアダプタ

 以前購入した「BUFFALO製 11n対応 11g/b」は発熱が大きかったので、今回はRaspberry Pi2購入時にKSYから次のものを購入しました(写真右上)。
    EDIMAX N150(b/g/n) Wi-Fi Nano USB Adapter for RasPi  \1,350
これは発熱も少なく順調に動作しています。