1.MySQL用ODBCドライバーの設定
ODBCについては簡単に説明しましたが、アプリケーションプログラムからDBMS(Database Management System:データベース管理システムまたはソフト)に接続して、基本的な機能を操作できるようにするものです。Microsoft社によって制定され、DBMS製作会社からドライバーソフトが提供されています。MySQL用ODBCドライバーはすでにインストール済みなので、以下の手順に沿って設定を行ってください。
①MySQL環境の編集
/etc/mysql/my.cnfの bind-address行を、行頭にコメント記号「#」を付けてコメントアウトします。
# # Instead of skip-networking the default is now to listen only on# localhost which is more compatible and is not less secure. #bind-address = 127.0.0.1 # <=== これをコメント化! # |
②更新権限の付与
MySQLにログインして、ユーザーrootとpiの更新権に「すべての権限」を与えるよう指示します。
GRANT ALL PRIVILEGES ON *.* TO root@'192.168.%' IDENTIFIED BY '**1' WITH GRANT OPTION; GRANT ALL PRIVILEGES ON *.* TO pi@'192.168.%' IDENTIFIED BY '**2' WITH GRANT OPTION; |
③ODBCアドミニストレーターの起動
Windows OSが32ビット版か64ビット版であるかによって起動方法が異なります。
・64ビット版
画面左下の[スタート]ボタンをクリックして、「プログラムとファイルの検索」窓に
\Windows\SysWOW64\odbcad32.exe
と入力して[Enter]キーを押下します。
・32ビット版
画面左下の[スタート]-[コントロールパネル]で「管理ツール」を選択し、
「データソース(ODBC)」を選択します。
④ODBCアドミニストレータの設定
・「ODBC データソース アドミニストレータ」ダイアログが表示されるので、
[システム DSN]タブに切り替えて[追加]ボタンをクリックします。
・「データソースの新規作成」ダイアログが表示されるので[MySQL ODBC 5.3 Unicode Driver]を選択して
[完了]をクリックします。
・「MySQL Connect/ODBC」ダイアログが表示されるので、次の項目を入力します。
Data Source Name: WorldHeritage
TCP/IP Server: 192.168.0.22 <=== Raspberry PiのIPアドレス
User: pi
Password: <=== piのMySQLログインパスワード
Database: world_heritage <=== リストボックスを開いて選択します
次に[Details]ボタンをクリックして、「Character Set」で[utf8]を選択して[OK]をクリックします。
[Test]ボタンをクリックします。設定が正しければ次のダイアログが表示されます。
次のように WorldHeritageが追加されてODBCの設定が完了です。
2.LibreOfficeの導入
LibreOfficeはOpenOffice.orgから提供されているフリーでオープンなオフィススイートで、Microsoft Officeに類似した機能をもっています。
①LibreOfficeのダウンロード
LibreOfficeの最新バージョンをLibreOffice公式サイトからダウンロードします。
LibreOffice(http://ja.libreoffice.org/)
[ダウンロード]ボタンをクリックして次の画面に進め、利用できるバージョンから最新のバージョン番号をクリックします。
②LibreOfficeのインストール
ダウンロードした「LibreOffice_5.0.5_Win_x86.msi」を実行するとインストーラが起動し、すべて既定値を選択してインストールします。
3.LibreOfficeのBaseの設定
画面左下の[スタート]から[すべてのプログラム]をクリックして、プログラム一覧から「LibreOffice 5.0」を選択します。LibreOfficeの構成プログラムが展開されるので[LibreOffice Base]をクリックします。
①ODBCとの接続設定
「データベースウィザード」のステップ1で、「既存のデータベースに接続」をチェックして、リストボックスから[ODBC]を選択し[次へ]をクリックします。
ステップ2ではODBC接続のセットアップを行います。[参照]ボタンをクリックするとデータソースの一覧画面が開きます。先ほどODBCのData Source Nameで設定したWorldHeritage選択して[OK]をクリックします。
「システム上のODBCデータソースの名前」にWorldHeritageが設定されたので、[次へ]をクリックします。
ステップ3はユーザー認証のセットアップです。「ユーザー名」にpiを入力して[接続テスト]をクリックします。WorldHeritageデータベースにコンタクトできると「接続が正常に確立できました」とメッセージ表示されるので[OK]をクリックして閉じ、[次へ]をクリックします。
これでLibeOfficeのBaseからWorldHeritageへの接続情報の設定が完了しました。最後のステップでは、設定情報に名前を付けてLibreOfficeに登録します。ラジオボタンやチェックボタンは既定の状態のままで[完了]をクリックします。
「名前を付けて保存」ダイアログが開くので、適当なフォルダーに保存してください。
LibreOffice Baseに切り替わってWorldHeritage.odbの画面が現れます。左欄の「テーブル」をクリックすると、データベース名と構成テーブルのツリーが表示されます。この状態でテーブル名をダブルクリックするとテーブルの内容を一覧表示できるのですが、日本語が文字化けしています。これは文字セットのミスマッチが原因です。
文字セットを正しく設定するために、データベース名world_heritageを右クリックして表示されるメニューの[データベース]から、次のメニューの[プロパティ]を選択してください。
「データベースプロパティ」ダイアログの[追加設定]タブを開いて、「文字セット」のリストボックスから[Unicode(UTF-8)]を選択して[OK]をクリックします。
念のために接続情報を確認しておきましょう。先と同様にデータベース名を右クリックして[データベース]をポイントし、次のメニューの[接続タイプ]を選択します。
「データベースプロパティ」のダイアログが現れるので、[次へ]ボタンで「追加設定」まで進めると、「文字セット」に[Unicode(UTF-8)]が設定されているのが確認できます。
すぐにでもテーブル内容の表示などを行えるのですが、いったん画面を閉じましょう。
4.Baseを使ってみる
前節と同じように[スタート]-[すべてのプログラム]でLibreOfficeのBaseを起動します。データベースウィザードが開くので、「既存のデータベースファイルを開く」をチェックします。直下の「最近使用されたもの」には[WorldHeritage]が表示されていると思いますが、そうでなければリストボックスを開いて[WorldHeritage]を選択してください。[完了]をクリックするとBase画面に移動します。
①テーブルの表示と編集
Base画面左欄の「テーブル」をクリックして構成テーブルのツリーを表示させてください。
次にheritage_tableをダブルクリックしてください。「テーブルデータビュー」が開いて、テーブルデータを一覧表形式で閲覧することができます。
ただ閲覧するだけでなく、カーソルを移動してデータ(列またはフィールド)の内容を修正したり、最終行に移動してデータ(行またはレコード)を追加したり、データを削除することができます。SQL文を作成することなく簡単にテーブルの内容を更新できるわけです。
さらに進んで、テーブルを新設したり削除することも可能です。またLibreOfficeはオフィススイートなので、表計算ソフトのCalc(Microsoft Excelに類似)などと組み合わせて利用することも考えられます。
テーブルの新設で注意しなければならないのは、テーブル名や項目名(列名)に日本語を使用しないことです。日本語を使用すると文字化けが起きたり、文字化けに起因するエラーが発生します。
②クエリーで結合表を扱う