1.赤石バス停登山口~中休大師堂~観音寺奥の院へ
JR岡山駅から福山駅で乗り継いで1時間半と少し、糸崎駅に到着した。ゆっくりと待ち時間を過ごして、遅れてやって来たバスで赤石バス停へ着いたのは10時5分。
バス停そばの道標にしたがって家屋の間の細道に入る。
山陽本線の踏切を渡る。しかしこの写真、どこかおかしいゾ。どう見ても山陽本線が単線になっている。渡ったところからの写真はちゃんと複線になっているのだが。いったいどうなってるんだ? 偶然にできたドッキリ写真だ。
石垣に挟まれた舗装の道を登ると、ここにも八十八カ所があるようで、その八十八番と出会う。以前に鉢ヶ峰から下山した折りにはこれほど急坂だと思わなかったのだが、かなりキツい。息が上がるので、もっとペースダウンしなければ連山縦走どころではなくなってしまう。
舗装道を急ぎすぎないように注意しながら八十五番に着いた。
「みはらし連山 登山口」の標識。ということは、ここまでの道程は登山口までのアプローチだったってこと?
オヤッ、その先が参道と二股に分かれている。左に見える参道は階段の回り道なので、ここは一般道へと進む。
参道とはその先で合流する。七十九番のお地蔵様が待っていてくれた。
デコボコしているがこれでも舗装道の階段なのだ、厳しい坂が続く。「800米」の標石はどこからの距離なのだろうか。
中休大師堂が見えてきた。堂内に祀られている六十五番のお地蔵様に手を合わせる。
素晴らしい眺望だ。中央に霞むのはは因島大橋。
中休大師堂には最近設置されたトイレがある。さらに登って行くと右側に清水堂。ここの水を運んで観音寺奥院の万慶上人の五輪塔にかけるとご利益があるという。
次の分岐は参道の方が緩やかなのでそちらへ移動する。なおも進むと「200米」の石柱に元気付けられる。
しだいに傾斜が緩むと「100米」の道標が現れる。この数字は奥の院までの距離だったようだ。
観音寺奥の院に到着した。前回は通り過ぎた本堂に上がって参拝する。
2.観音寺奥の院~鉢ヶ峰山頂
観音寺奥の院の境内からの眺望は素晴らしい。展望台に上がると南東から南西にかけてのパノラマが広がる。
写真左は尾道方面で、尾道水道の遠くに尾道大橋が霞んでいる。南には向島と因島に挟まれた因島大橋が見えている。
正面には細島と小細島。そこから右には佐木島、高根島、小佐木島が並ぶ。
長閑な奥の院広場の風景だ。西側を覗くと、これから出かける大平山方面の山並みが見える。
鐘楼で合掌して鐘を打つ。予想以上の大きな音に驚いた。残響は豊かだが、音量が減衰してゆくに連れて音色にややノイズが混じったような感じがした。開山堂と万慶上人の五輪塔を拝して鉢ヶ峰の山頂へと進む。
最初はただの登り坂だがすぐに岩場が顔を出す。両手でバランスをとった方がいい所もある。
ふさふさとした白髪のような草むらを抜けると平坦な道になった。
鉢ヶ峰への道標がある。大平山へは、ここまで戻って進路を左折して進むことになる。観音寺本堂まで450mの道標が立っている。
間もなく鉢ヶ峰山頂に到着した。懐かしい山頂風景だ。
やはり鉢ヶ峰山頂からの眺望は素晴らしい。真南には映画『裸の島』のロケ地になった宿祢島(すくねじま)が点のように見え、その向こうに大きな佐木島、その右には小佐木島が浮かんでいる。
北西には筆影山がゆったりと稜線を広げ、右には沼田川から三原港を望むことができる。
三原山の会が設置した日誌とリーフレット(?)のボックス。ボックスの中は空だった。それを確認してから次の大平山へと歩き始める。
3.大平山~学校林分岐のベンチ
北に向かってしばらく下り、また登り返す。
送電鉄塔に出合って現在地が明確になる。ここで左折して、西へと大平山を目指す。どこだかはっきりとは分からないが、南東の一角に瀬戸内の風景が広がる。
直角に左折を促す道標があり、すぐ近くの木に手書きのマップが吊されている。年を経たマップではあるが、経験的にこのようなマップがある山は熱愛ハイカーが多いことを直感する。ここから鳴滝山に行けるようだ。
先の道標から3分ばかりで次の道標。ここからも鳴滝山へ行けるらしい。真上に送電線を見ながら歩く。
また下りだ。そしてまた登り、む~、ここからも鳴滝山に行けるようだが、かなり厳しいかも?
クロスポイントの道標が立つ。南へ下りると糸碕神社、北へ下りると中之町へ出る。その先にドングリが並んだような「みはらし連山」の標識。
またまた急な階段を登ると、また下りる。
そして、また登る。オオッ、電波塔が見えてきた。
堂々たる電波塔。ちょうどメンテナンス作業をしていて数台の車両が停車中。しかしこの電波塔、どこの設備か分からなかった。
地図と照らしてここが山頂だと思い込み、周辺に三角点があるはずと何度も徘徊したが見当たらず、諦めて西へ進む。ロスタイムは5分ほどかな。
ところが、その突き当たりが大平山と米田山の分岐だった。勢い込んで大平山へ向かうと別の電波塔が見えてきた。中国電力の後山無線中継所である。地図に記載されているのはこの電波塔だったようだ。
その手前にある大平山の山頂標識にタッチ。しかし、傍の石柱を三角点と勘違いしてしまい、本物の三角点にタッチすることなく通り過ぎる。上の金網に囲まれた一角は、かつての中継局だったようだ。ここで昼食をとる予定だったのだが、そんな気分になれず先を急ぐことにする。
西側の木に「←米田山」のプレートが架かっている。先の分岐まで戻らなくても、ガードレールの隙間から米田山へ向かうことができるようだ。
隙間へと下り進むとすぐに舗装道路との合流点になる。電波塔の建設・メンテナンスに使われる舗装道路を進む。
間もなくガードレールの手前に「米田山」の道標が現れて入り込んで行く。
その先にベンチがある。ここはNPO法人フォレストサポートクラブが整備維持している学校林への分岐らしい。
南側は海に近いが、木立や笹が風をさえぎりベンチは陽だまりの中。腰を下ろして弁当を開く。ここまでの道中では誰にも会わない、ここでゆっくり食事をしていても誰も通らない。ただ明るく閑かな空間に居る。いくぶん寂しくはあるが、もったいないほど贅沢な時間を感じてもいる。
4.米田山~象山~清水橋登山口
昼食を終えてスタートすると、木の間から糸崎の町並みと瀬戸内海がちらりと見えた。気持ちのいい尾根を進む。
糸崎駅方面への分岐を通り越すと、その先にも手書きのルートマップが木に結わえられている。
再び下りと登りを繰り返しながら前進する。象山への道標の支柱に「←米田山山頂」を見て左へ折れる。
3つめの米田山山頂に到着だ。切り拓かれた山頂から美しい島の風景を観る。三原港が近くなり、その向こうに筆影山がそびえている。
先の道標まで戻って象山へと左折する。しばらく下ると送電鉄塔と出合った。地図から水平距離を目算するとすでに米田山から象山の1/3まで進んでいるが、残す登り返しとピーク越えはかなりキツそうだ。
北側の中之町へ抜ける道があるようだ。これまでに何度も見ている道標は「三原山の会」のもので、適確な位置に適切に設置されているのが嬉しい。見やすくて無駄がなく安心して前進できる。
下り進むと鞍部に広友町への分岐がある。糸崎南方面へ下りることができるようだ。
ここから次のピークへ向けての急坂が始まる。と言っても取り立ててどうということではないのだが、ここまでの疲労が蓄積した足には堪える傾斜だ。振り返ると先に通過した送電鉄塔と米田山。そして岩のゴツゴツした急坂に取り組む。
ピークに着いた。周囲には松が多く、しかもどれもこれも生き生きとしている。
ピークの北側から中之町の一帯が望める。ズームで近づくと東光寺や真っ直ぐに山越えする送電線路が見える。
その先から北側に切り立った崖が続く。道がしっかりしているので危険は感じないが注意深く歩く。
崖の下方向にカメラを向けてみた。高度感を失うほど切れ落ちている。斜めから見るともの凄さを感じる。
2015年に山道が崩落して、三原山の会が新たに整備してくれた巻き道を行く。各所にロープと注意書きが張り巡らされた道を感謝しながら前進する。
話し声が聞こえる方へ歩いて、ついに最後の山頂に到着した。ちょうどご夫妻が清水橋登山口から登って来たところで、今日初めての人との出会いである。素晴らしい眺望を前に近辺の山のことなどを話す。お二人は往路を帰るか南の極楽寺へ下りるかでしばらく迷っていたが、歩きなれた往路を下りますと去って行った。
独りになってしばらく眺望を愉しむ。振り返ると歩いてきた三座を見通すことができる。遠くのピラミッド型は鉢ヶ峰。
その左をズームアップすると2本の電波塔が建つ大平山。そしていちばん手前が米田山。
山頂に植え付けられた1本の松、成長が楽しみだ。西に延びる山陽本線と三原の市街地を眺めて下山に取りかかる。
清水橋登山口に向かう道へ踏み込む。
思っていたより傾斜のきつい坂が九十九折りで続く。ロープに手を添えたり木をつかんだりしながら下り進む。送電鉄塔に出合うと登山口は近い。
三原バイパスの中之町トンネルが見えてきた。最後は金属製の急な階段を下りて着地する。
登山口ではお地蔵様がお出迎え。ここがみはらし連山の西の登山口だ。
そしてこれが清水橋。最後の象山への登りに手間取ったが、他はほぼ計画通りに歩くことができた。三原駅に着いて、タコとダルマの絵が面白いパッケージのお土産を買ってプラットフォームへ上がる。と、そこにもタコの絵の駅名表示板。さすがに「タコのまち」三原ではあります。