1.有馬温泉駅から登山口へ
三宮から市営地下鉄で谷上駅へ出て神戸電鉄に乗り換え、有馬口駅で乗り継いで有馬温泉駅に到着した。太閤橋交差点へ移動すると左手に有馬温泉バス停と「おもてなしトイレ」がある。
交差点を有馬川に沿って直進すると、赤い橋のたもとに「ねねの像」が立つ。その先の分岐を右に進む。
すぐ先の左側に有馬温泉観光総合案内所があったので、登山口を確認するために立ち寄ってみた。妙見寺への道を尋ねると、「そのまま進むと右手にたこ焼きの店があるので、その先を右へ入ります」とのこと。すぐに見つかった。
たこ焼き店の先は赤れんが敷きの道を挟んで客用の休憩所がある。赤れんがの道が登山口だ。
2.妙見寺~落葉山
「妙見宮参詣道」の石碑が建ち敷石の階段から始まる。「城山妙見寺」の赤提灯が飾られ、その下に有馬三山の手書き道標が吊されている。
参道の途中には西国三十三所の石仏が並んでいる。
石畳の道を進み、ゆるやかな舗装道を上がって行くと妙見寺の階段に着く。「妙見寺 日蓮宗」と題する案内板には、「鎌倉時代、元真言宗金杖山金剛寺を法ヶ宗(現日蓮宗)に改宗させられました。本尊の福徳開運北辰妙見大菩薩尊像は後小松天皇の勅願にて、三代将軍足利義満公が捧持。有馬の鎮護にと祀られ、明治39年愛宕山の麓より落葉山の山頂に移したお寺です」とある。
階段を登ると石鳥居が現れ、神仏習合であることがうかがわれる。
広場に神社があり参拝する。石碑も銘板もないので定かではないが、これが妙見宮だろうか。さらに階段を登ると妙見寺の境内に出る。
本堂には「妙見大菩薩」の扁額がかかり、四方の壁面の左右には彫刻が施されている。隣接して御堂が建つ。
本堂の右横を通り抜けて進むと「落葉山 533m」の山頂標石がある。
そのすぐ先が右に折れ込んでいて、入り込むと四等三角点が設置されていた。
3.有野団地分岐~灰形山
次の灰形山を目指す。落葉山を下りにかかると南の展望が開けて、灰形山から湯槽谷山の方を見渡すことができる。
間もなく「高丸山尾根を経て有野団地」の道標に出合う。ここは灰形山の方へ進む。
さらに5分ほど下りると「灰形山 0.6km」の道標、左側に「有馬温泉 0.4km」とある。
登り返しになり、「この先やせ尾根通行注意」の表示板が立っている。
道が細くなり岩場が現れる。両手両足でバランスをとりながら登る。
登り切った狭い足場から、愛宕山公園周辺の有馬温泉街区を一望できる。このコブから下りるのに要注意!
今度は「落石注意」だ! このあたりは紅葉が実に美しい。
アップダウンが続き次から次へとコブが現れる。スリップしないように慎重に乗り越える。
谷間の幻想的なパステルカラーに引き込まれそうだ。落葉で足を取られないよう気を抜けない。
ようやく痩せ尾根をこなして急坂を下りたら、丸太の真っ直ぐな急階段が待っていた。
岩場をコツコツ登っていたら上の方から声が聞こえてくる。やがて男女二人組が下りてきて、「ここで待ってますから、先に上がってきてくださ~い!」の声。 状況を聞くと、グループでやって来たが灰形山でギブアップして二人で引き返しているとのこと。「お気をつけて~!」
「灰形山 0.1km」になった。しかし、たったの100mが簡単には運ばない。まず細い急坂からアプローチする。
写真ではわかりにくいが、この根っこの坂は傾斜がきつい。わずかな距離だが息が上がる。小刻みに登り切ると山頂だ。
やっと二つ目の山頂に到着した。「灰形山 619m」の山頂標石が立ち傍に三等多角点がある。
木々の間から有馬温泉街が見え、南には六甲山が横たわる。中央に電波塔が建つのは六甲最高峰だ。
4.有馬温泉分岐~湯槽谷山
10分近く休憩してスタートすると、女性3人組が登って来た。挨拶を交わして湯槽谷山に向かって下りて行く。
5~6分下りると行く手に湯槽谷山が見える。変わった名前だが、この山の木で有馬温泉の湯槽を作ったことに由来するらしい。まだまだ下りが続く。
有馬温泉への道標と地図板が設置されている。このあたりが灰形山と湯槽谷山とのコルである。
ここからの登り返しはきつい。約600mの距離で標高差およそ230mを登らなければならないので、梯子のような丸太の階段が連続する。
木の根の坂に差しかかったあたりで紅葉を眺めていたら、先ほどの女性3人組がやって来て道を譲る。なかなかの健脚ぞろいである。
息切れするので頻繁に小休止をとりながら、丸太階段と根っこの道を詰めて行く。
灰形山からほとんど1時間近くかかって湯槽谷山に到着する。女性3人組は昼食の最中だ。「湯槽谷山 801m」の山頂標石にタッチして昼食を始める。3人は伊丹の住人でこのコースを歩くのは初めて、しかし六甲山は庭のように歩き回っているという。恐れ入っていると、お菓子やまんじゅうやミカンの差し入れ、ごちそうさまでした。
賑やかな声がして16人のグループがやって来た。元気いっぱいの人やかなり疲れた顔など様々で、記念写真を撮り終わるといっせいに昼食を始める。リーダーらしい男性が奈良県の音羽三山について話していたので、話に加わる。下見山行で出かけたがかなりしんどい山だったとのこと。近々出かける予定の山なので参考になった。女性3人組は折り返して別ルートで有馬温泉へ下りるので、ここで別れる。13時12分、グループの人たちに挨拶して極楽茶屋跡を目指す。
5.番匠屋畑尾根~極楽茶屋跡~六甲ガーデンテラス
10分ばかり下ると紅葉谷道分岐に着いた。「湯槽谷を経て紅葉谷道 1.0km(難路)」の道標が立つ。そのすぐ先に逢山峡分岐があり、「横谷を経て逢山峡 2.7km」の道標。
再び急な丸太の階段を登り山道を進んで行く。
道の分かりやすい位置に湯槽谷山の四等三角点がある。タッチしてさらに下って行く。
六甲有馬ロープウェーの鉄塔の下を通る。
ここから南の極楽茶屋跡へと繋がる番匠屋畑尾根はアップ・ダウンの連続で、疲労が蓄積した足にはかなりキツい。どんどん下りてまた急坂を登り返すことを繰り返す。途中で極楽茶屋跡から登って来た男性に出会う。「湯槽谷山まではまだキツいんでしょうか?」と聞かれ、元気付けてはあげたいのだが「もう少しの辛抱ですね」と応える。
番匠屋畑尾根道と現在地を示す地図板があり、少しの間フラットな道が現れる。
が、すぐ先からまたもやアップ・ダウン。丸太の上り階段が連続すると、何度も小休止しないと前進できない。時折、遠くからロープウェイの通過する金属音が聞こえてくる。
湯槽谷山からすでに1時間が経過している。これが最後の階段かな、と取り留めのないことを考えながら進むと、また階段が待っている。紅葉を眺め深呼吸して呼吸を整える。
小川谷分岐だ。「小川谷・逢山峡を経て神戸電鉄・有馬口駅 7.5km」の道標が立つ。
辿ってきた番匠屋畑尾根道と紅葉谷からの道がクロスする、極楽茶屋跡からの進入ポイントに着いた。向こうに極楽茶屋跡が見えてきた。
極楽茶屋跡前の車道を渡ると「六甲全山縦走路」の道標が立つ。六甲ガーデンテラスへと向かう。
階段を下りて進むと南側の展望が開けて、眼下に神戸から大阪方面の風景が広がっている。
兵庫県防災行政無線六甲山中継所の付近を通り、巨大なアンテナ群と六甲枝垂れを見ながらガーデンテラスへ。
六甲ガーデンテラスのバス停付近にはハイカーが溢れている。ここから六甲ケーブル山上駅までバスで移動し、ケーブル下駅からJR六甲道駅に出て帰途につく。かなりハードな、しかし達成感のある山歩きであった。