名 称

ひるぜん(かみひるぜん)

所在地

岡山県真庭市蒜山、鳥取県倉吉市

標 高

1,202m

山行日

2015年9月26日

天 候

晴れ

同行者

「瀬戸内登山同好会」の仲間たち

アクセス

車で上蒜山スキー場駐車場へ

マップ

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

上蒜山スキー場駐車場 10:01上蒜山登山口 10:28三合目 11:07五合目 11:37八合目 12:24
上蒜山山頂(縦走路へ入り込み戻る) 12:48~13:00三角点(電話連絡とれず) 13:12~13:17
上蒜山山頂(電話連絡成功) 13:30~13:31八合目(昼食) 13:54~14:05上蒜山登山口 15:28
上蒜山スキー場駐車場 15:50

1.上蒜山登山口へ向けて

 予定よりはるかに早く蒜山ICに着き、先に道の駅「風の家」に立ち寄って新鮮野菜を買い込む。10時前の「とれたて新鮮野菜市」には商品がふんだんに並び、蒜山大根とミョウガ、ちょっと贅沢にニューピオーネをバスケットに入れた。
 そこから10数分で蒜山スキー場の駐車場に到着。広い駐車場には他に1台駐車しているだけだ。案内板に目を通してスタートする。

 来た道路を少し戻り、「上蒜山登山口入口 0.9km」の道標にしたがって左折する。

 道端にはあちこちでツリフネソウが花を付け、キセルアザミが咲いている。

 道標「上蒜山 牧場経由」の方向に進んで行く。

 牧場の広場にはトラクターが停まり資材が積み上げられている。そのそばを通り、柵をまたいで牧場の中に整備された道を歩く。行く手にはこんもりとした森が見えるばかりで、まるで山に登る気がしない。しかし、手元の地図に見る等高線の混み具合は、これからのきつい傾斜を示している。

2.急坂を八合目まで

 「蒜山登山道案内図」が立つ上蒜山登山口の標高は630m。これから山頂までの標高差572mを登る。スタートは擬木の階段から始まり、いきなり「マムシ注意」の掲示板が目に入る。

 グループ山行では、草が茂る山道も何となく気分的に楽だ。大勢の勢いでマムシも逃げ出すに違いないと、かってに思い込む。すぐに再び擬木の階段に変わる。

 等高線が密な部分の急傾斜は想像通りだ。はるか上まで長い木段が続き、ただひたすら登って行く。

 登山口から21分、「え~、まだ二合目?!」。しかし杉林の中を登るのはここまでで、すっかり様子が変わってくる。

 少しガスが出てきたが、眼下には蒜山高原の大パノラマが広がっている。

 昨年登った三平山にズームで寄ってみる。下方を望むと、先ほど通ってきた資材置き場とトラクターが見え、米粒のようなジャージー牛が群れをなしている。

 鮮やかな黄色はアキノキリンソウ、その近くにボロボロに傷んだ花はシロヨメナかな?

 三合目に着いた。ワレモコウが小さな花をつけている。

 左から朝鍋鷲ヶ山と三平山が、そして右は台形の城山にまで連なる大パノラマだ。

 三合目を過ぎると尾根歩きになる。しばらくは傾斜が緩くなった山道を軽快に歩く。右下には蒜山ホースパークからジャージーランドのあたりが見えている。

 コナラが実をつけ、陽差しにガマズミの赤い実が輝いている。

 五合目に向かう道は初めは緩やかだが、近づくにつれて傾斜を増してくる。

 尾根道には季節の花が溢れている。
 <シロヨメナ、アキノキリンソウ>

<リンドウ、アザミ>

<マツムシソウ、ヤマラッキョウ>

 快適な尾根歩きだ。二俣山(ふたまたせん)から皆ヶ山(みながせん)・アゼチは明瞭だが伯耆大山は雲に隠れている。

 草原の一角にゴマのようなものが貼りついている。ズームで寄ると、ジャージ牛の群れがゆっくり移動している。眼下の素晴らしい景色と花を見ながら、五合目に到着した。

 上蒜山の山頂はまだ見えない。行く手に見えるのが1,030mピークだろうか。足元にセンブリの花が咲いている。

 ママコナとツリガネニンジン。

 1,030mピークにあったはずの三角点を見落としたようだ。次に見えているピークが山頂だろうか。おや、これはイブキトラノオではないかな?

 先行していた女性たちが腰を下ろしている。やっと山頂に着いた、と思ったら八合目だった。山頂は見晴らしが好くないし、今回はここで昼食をとって下山しようということになった。八合目の展望は素晴らしいが、大山方面は雲の中だ。
 「山頂へいってらっしゃい」という言葉に気を良くして、ここから単独行動をすることになる。ついでに三角点を確認したいと話すと、事情に詳しい女性から「道がわかりにくいから十分気をつけて」とアドバイスを受けてスタート。

3.上蒜山山頂と三角点巡り

 八合目の傾斜をひと登りすると、ようやく山頂が見えてきた。背丈の低い笹に覆われた中を延びる尾根道。ウルシの紅葉が美しい。

 ここにもヤマラッキョウが花をつけ、薄紫色のマツムシソウが道辺を彩る。

 紅葉を始めたヤマボウシはサッカーボールのような実をつけている。

 八合目から3分で中蒜山と下蒜山を見通せる位置に出た。と、すぐに林の中を歩くことになる。

 ブナの林を通り抜け、足もとの悪い急坂をひと登り。

 八合目から20分ばかりで上蒜山山頂に到着した。ブナの幹に、包装紙でくるまれた花束が立てかけられているのが気にかかる。木々に囲まれて眺望はなく、周囲を見回すが三角点へのアプローチも確認できない。

 縦走路に踏み出してみる。雲が流れて蒜山高原の風景がかき消されそうな状況だ。

 しばらく前進するが、三角点への手がかりが得られず引き返すことにする。ちょうどその時、一見して山を歩きなれたことが判る若い男性と出会う。「三角点は山頂の藪の中です」と聞き、いささか驚きながら引き返す。その途中に、仲間たちがくつろいでいる八合目が遠くに見える。このルートで10分以上もロスが発生した。

 「この藪に入れば三角点に通じています。道はありませんが踏み跡がしっかりしているので大丈夫だと思います。今朝歩いて確認していますので」、と言い残して下山する男性に、仲間への状況連絡を依頼して藪をかき分ける。
 踏み込んでから仲間のアドバイスを思い出す。たしかに道がなく、方向感覚を失いそうになる。木に結ばれたピンクと赤のテープを頼りに、久しぶりに本格的なヤブコギだ。そして、ぬかるみに足を取られて転びそうになるのを何とか持ちこたえた。

 ようやく着いた三角点は山頂と同様に林の中。かなり時間を費やし、5分の予定が12分もかかってしまう。下山予定時間が迫っているので仲間に連絡を取ろうとするが、携帯電話が通じない。

 山頂に戻る途中に人の気配がして、同じルートを5人のパーティーがやって来る。大きな声で挨拶を交わす。迷路のような場所での出会いは心強く嬉しかった。
 山頂に戻ると携帯電話が通じて仲間と連絡がとれる。先に下山するよう依頼するが、待っているとのことで道を急ぐ。

4.そして下山

 30分近く予定を遅らせ、仲間たちには迷惑をかけることになった。みんなで記念写真を撮り、弁当を頬張りながら小休止。先に出会った5人組みが引き返してきたのを機に、弁当を片付けて下山に取りかかる。が、歩き始めるとバランスが変だ。体の中心のブレと、三角点探索中に踏み込んだぬかるみで滑りやすくなった靴が原因か、大きな尻餅をついてしまった。冷や汗をかきながら六合目を通過する。

 下界が見えてきた。二俣山と皆ヶ山の間に、ずっと隠れていた大山と烏ヶ山が姿を見せた。

 五合目から二合目への間、注意を集中していたにもかかわらずさらに2回も尻餅をつく。左足が捻れたために膝内側が痛む。手をついたとたんに左中指と手首も痛めたらしい、また左臀部にも痛みがある。考えてみると、今日はスタートしてから、腰を下ろしたのは昼食の10分間だけだった。感じている以上に疲労が蓄積してしまったようだ。

 牧場の建家が見え、駐車場への道標へと戻り着いた。とにかく、無事に(?)帰着することができた。そして今回の上蒜山登頂で、蒜山三座すべてを歩いたことになる。いずれも瀬戸内登山同好会の仲間たちとの同行、みんなに感謝したい。