1.JR新見駅から千屋温泉、そして明地トンネル登山口へ
新見駅からのバスの便の関係で、岡山~新見間は特急やくもを利用する。新見駅には9時7分に到着、駅前には新見市伝統の土下座祭りの石像が並ぶ。
バス乗り場は駅のすぐ前で、9時15分に出発する。
およそ50分で終点の千屋温泉バス停に到着する。バス停は「新見千屋温泉いぶきの里」の駐車場の一角にある。
バス停から南には花見山、北にはこれから登る剣山を一望できる。
バスで上がってきた道を下って行く。周辺にはハクモクレンと桜の花が美しい。
国道180号に出て左へ向かう。鳥取県への道である。
20分ばかり歩くと明地トンネルに差しかかる。
トンネル入口の右側が登山口で、「新見癒やしの名勝遺産」に指定された剣山の解説板が設置されている。「山頂を極めるとそこは剣の先、頂上からの360度の眺望は山陰と山陽が見渡せ中国山脈の脊梁にいることがよく分かる」とある。これは楽しみだ。
2.三日月山分岐~休憩舎~山頂へ
車止めのチェーンをまたいで林道に入る。
杉林の道を登って行くとコゴミの姿。正式な名前はクサソテツでコゴミはその新芽。もう2~3週もすれば収穫期で、これの天麩羅や和え物は最高だ!
傾斜の緩いコンクリート舗装の道が続く。花をつけ始めたミヤマキケマンがチラホラ。
右に砂防ダムを見て進む。登山口から20分足らずで三日月山分岐に着いた。左折すると三日月山への登山道で、ここは直進する。
どこまでも杉の枯れ枝が落ちた舗装道路が続く。「一般車両通行禁止」の立て札があり、「これから先、許可なく車両や歩行者の通行を禁止します」と表示されている。登山者は別だよね、と続きを読むと「無断で通行して事故等が発生しても一切の責任は負いません」、な~るほど。
送電線直下を通過する。少し進むと山の案内図がある。250mほど前進すると「いこいの森」が400mばかり続き、その先に200mの「散策の森」がある。そこから100mの「展望の森」を登ると展望広場がある山頂だ。
右側に木の柵が設置された道はやや勾配が増しているようだ。手前に「いこいの森」から「展望の森」、さらに「ヒノキの森」への道標が立っているが、先の案内図と距離がかなり違っている。
ともあれ前進だ。階段が増えてくるが傾斜はきつくない。やがて「展望の森 100m」の道標を過ぎる。
七合目の休憩舎に着いてザックを下ろす。木々の間越しに伯耆大山が見えている。
水分補給をしているとヘリコプターの音が急に近づいてきた。小屋から飛び出してカメラのスイッチを入れるが、小枝にピントが・・・。上空で「く」の字に折れて南へ飛び去るのを確認してザックを背負う。
「休憩所 200m」の道標。その先に岡山県と鳥取県の分岐標識があり、岡山県側にはアカマツ、鳥取県側にはダイセンキャラボクの写真が掲示されている。
道の右・岡山県側にはこのようなアカマツが多いが、鳥取県側にダイセンキャラボクは見当たらない。全体的にコナラやクヌギが多いようだ。
階段を登ると九合目休憩舎の場所に着いた。しかし、現在は休憩舎はなくベンチがあるばかり。「標高945m」の標識が倒れていて、「展望広場・剣山 100m」の道標が立っている。
近くには鳥取県日野町の集落と国道180号線、遠くには残雪の大山が望まれる。左に日本海が見えているのだが写真ではムリだった。もうひとつのベンチの前を山頂方向に向かう。
キジムシロが可愛い花をつけている。その先の階段を登れば山頂だ。
3.剣山山頂風景
展望広場には山頂標識と方位盤があり、方位盤の円周には山の形と山名が記されている。まさしく360度のパノラマが広がっている。
山座同定には自信がないので、方位盤に示されている山名に従ってカメラを構えてみた。
〔左:三日月山、右は花見山〕
〔左:矢の峰・天銀山・明石山、右:剣森山〕
〔左:雄山・雌山、右:大山〕 写真左はちょっとずれているかも。 写真右の大山の右は烏ヶ山、手前に宝仏山。
花見山方面の山々。花見山の右には大倉山、その右に道後山が見える。
こんなに素晴らしい眺望にもかかわらず誰もいない。そしてここまで誰にも会わなかった。実にもったいない気がする。最後に山頂標識と枝に結ばれた「分水嶺縦走 徒登行山岳会」のプレートを見て下山に取りかかる。
4.新見美しい森へ下山
九合目休憩舎まで戻って、新見美しい森に向けて下山を開始する。間もなく急な階段が現れロープが設置されている。バランスをとるためにストックを取り出して急坂に備える。
かなり下までロープが続いている。急坂はロープに手を添えて下る。
ロープが終わると、足元がおぼつかないほど笹が茂っているところがある。踏み跡はしっかりしているので、ゆっくり確認しながら下りればいい。美しい森への道標が現れ山頂から250mとある。
今度は枯れ草に覆われた道を注意深く進むとテーブルとベンチのある広場に出た。
再び階段を下りて行く。このコースでは最後の大山の姿を見てさらに下りる。
ヒノキ林が続いている。下り進むと分岐に出る。
左へ進んで大山地蔵を拝してから分岐に戻り、さらに下りると木道が見えてきた。
下り立った場所からはビジターハウスが見え、木道が延びている。
ビジターセンターで昼食をとろうと移動するが閉まっていた。引き返して野外広場の方を窺うが誰も居そうにないので、昼食は取りやめて早々と引き上げることにする。
5.国道180号線を新見千屋温泉へ
新見美しい森の標柱を見て国道180号へと向かう。
途中に迫り出している脆い岩肌。最近崩れたと思われる部分があり、石が道路に散乱してる。大雨や地震による崩落の進行が心配である。
右に渓流を見ながら平坦な舗装道路を歩く。
ここにもミヤマキケマンが咲き、あちこちにおいしそうなフキノトウ。
一面の杉林を行くと、橋のたもとに地震計が設置されていた。九州大学地震火山観測研究センターが観測しているらしい。
振り返って見た剣山。やがて畑地が現れ民家が見えてきた。
民家の庭に「新見美しい森」「←剣山」の道標が立っている。180号線に出ると備北バス「花見」停留所がある。
千屋温泉へ戻るために国道を西に向かう。しばらく行くと「高梁川源流」の道標に出合う。岡山県三大河川のひとつである高梁川(たかはしがわ)は、全長111kmの県下最長の川でもある。自分にはとりわけ馴染み深い川なので、その源流がこの辺りかと思うと感慨ひとしお。付近にまた地震計がありビックリ。比較的狭いエリアに2つもの地震計を見たことになる。
国道180号をひたすら歩く。いぶきの里スキー場第一駐車場が近づいた。
新見千屋温泉いぶきの里に立ち寄ってのんびりとバス待ちの時間調整をする。
〔余録1〕 帰りのバスの車窓から見た花風景。
〔余録2〕
ついでながら、この季節の伯備線の車窓は花に彩られている。
ヤマザクラ、ヤマブキ、ヤマボウシ、ハナモモ、モクレン、ヤエザクラ、ハナミズキ等々。目の保養にはもってこい!