名 称

おうじがだけ

所在地

岡山県玉野市渋川・倉敷市

標 高

234m

山行日

2015年12月26日

天 候

晴れ後曇り

同行者

「瀬戸内登山同好会」の仲間たち

アクセス

岡山〜渋川特急バスで瀬戸内マリンホテル・バス停下車

マップ

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

瀬戸内マリンホテル前出発 9:15渋川登山口 9:22矢出山 10:01ニコニコ岩 10:09~10:12
展望台 10:19新割山王子ケ岳山頂 10:29〜10:38レストハウス 10:45~10:53
王子が岳登山口バス停11:19渋川マリンホテル帰着 11:55

1.瀬戸内マリンホテル~渋川登山口へ

 時折り風が帽子を持っていきそうな朝だ。今回の例会も青空が広がり、今年は最後まで天気に恵まれている。9時過ぎに海沿いの国道430号を西へ歩き始める。正面に見えるのが矢出山で、王子が岳はその向こうに隠れている。

 山の手前の分岐路を右にとって進むと、突き当たり左手に渋川登山口がある。近年はやはり動物が多いのだろうか、以前にはなかった害獣防御フェンスの扉を開けて踏み込んで行く。

2.渋川登山口~ニコニコ岩

 よく整備された階段を登る。遠くに瀬戸大橋が美しい。

 山道は風が遮られて快適に進むことができる。一瞬眼を疑った。雑木の間に見えるのは間違いなくツツジの花だ。しかも満開、冬に入ってもぽかぽか陽気が続き狂い咲きしたに違いない。

 「少し速過ぎんか~?」と後から男性の声。前方を確かめると先頭には女性たちの姿、今日も女性がイニシアティブをとっている。矢出山までは急坂が続くので踏ん張りどころ、登山口から15分足らず歩いただけだが、振り返ると渋川海岸は遥かに下方だ。

 傾斜が緩やかになってきた。左の展望が開けたところから瀬戸大橋が見えている。強い風にもかかわらず、風景は春のように霞がかっている。

 T字路に出合うと道標が立っている。「左:休憩舎1200m、右:渋川海岸700m」とある。渋川から別のルートがあるようだ。ここは左折して進む。

 瀬戸内海の生い立ちについての2枚の解説板を通り過ぎて緩い下り階段にさしかかると、向こうに新割山が見えてきた。

 再び階段をひと登りすると矢出山の山頂(と思われる)。わずかに広くなった場所にベンチが設置されている。登山口から約40分での到着だ。5分ほど進むと「王子が岳の岩石」についての解説板があり、渋川海岸の美しい砂浜の成り立ちが書かれている。

 解説板のすぐ先に現れた大きな岩は、ニコニコ岩の後頭部。北には常山が頭を覗かせている。

 ニコニコ岩に到着した。この顔を眺めるとほっこりとした気分になる。西にはねずみ岩とおだんご岩も見える。

 ニコニコ岩の傍に立てば、南西には瀬戸大橋をバックにした小与島と与島が、西には鷲羽山ハイランドなど鷲羽山方面を眺望できる。

3.展望台~王子ケ岳山頂

 ニコニコ岩から移動を始めると、右手の小高い丘にいろんな形の岩が転がり、奇岩の丘といった景観だ。その丘のてっぺんに屋根らしいものが見えているが、あのあたりが王子が岳山頂のようだ。そして休憩舎に到着した。

 やはり霞がかっているのだが、瀬戸内海の多島美を堪能できる場所である。

 東には、ニコニコ岩が瀬戸内海に向かって微笑んでいる。赤白のツートーンカラーの煙突は三井金属日比精錬所である。さらに5分ばかり進むと山頂の東屋が見えてきた。

 山頂標識では「その昔、百済の王女がふもとの唐琴(からこと)の浦に住み、八人の王子を出産したためこの山を王子が岳というようになった」という山名の由来を、漫画っぽく解説している。解説の主役はもちろん、玉野市出身の漫画家いしいひさいちさんの生みだした「ののちゃん」である。猫も見ている。

 これが山頂の証(?)の三角点だ。ちょっと変わっているのは、標石の大部分が埋められていることだ。

 山頂からの眺望は文句なし。さっきニコニコ岩から見た南西の小与島と与島、西の鷲羽山方面がこのように見える。

 すぐ近くにはリゾートホテルも見え、何となく華やいだ雰囲気の山頂である。

4.下山して瀬戸内マリンホテルへ

 山頂から下るとすぐにレストハウス。鉄筋コンクリートの立派な建物で、大勢の人たちが椅子やテーブルでくつろいでいる。

 レストハウスの中から望む瀬戸内海。ここにも猫殿がくつろいでいた。

 レストハウス西側の山道を歩き始めると、あちこちにイノシシの暴れた跡がある。山頂から見えていたリゾートホテルは、廃墟となったホテル「王子アルカディアリゾート」。バブル経済期に、当時の環境庁の肝いりで着工されたものだが、バブル経済崩壊であえなく頓挫。引き受け手も現れぬまま、ガラスは割られ落書きされ放題の痛々しい姿をさらしている。

 ちょっと登った後は、かぎりなく急な下り坂が続く。標高が低いとはいえ膝が驚く階段の連続。

 この階段を最後に、やっと下り立った国道沿い。強い風で海には白波がたっている。

 下電バス「王子が岳登山口」に到着した。すぐそばの白亜の館は海辺の創作レストラン「帆風」である。背景の山は岩石の巣窟のようだ。

 国道べりにならぶ釣り竿。ここから渋川方面へとウォーキングを開始。ところが、その先の嶽山東地区で山腹崩壊が起きていた。国道左の山側が大きく崩れている。しかもその幅が大きい。これだけの崩壊を修復するのは並大抵ではないだろう。自然の猛威と人とのせめぎ合いの現場である。

 左手の山にはまたしても岩の塊が巣くう。やがて「渋川海岸・王子が岳」の案内板が現れ、渋川登山口が間近になった。

 渋川海岸にはパラグライダーが降り立ち、シルエットのような大槌島を背景に愛犬と遊ぶカップル。あとはホテルに戻って会食を楽しむだけだ。