旅のプラン
「今度の旅行はのんびり北海道といきたいなぁ」
「北海道はどこがいいかな。小樽にはぜひ立ち寄りたいんだが」
「美瑛と富良野は最高のお薦め」と長男君。「愛車のプジョーで上陸すれば機動的に移動できるし・・・・」、これで行き先は決定だ。美瑛・富良野の話は彼から繰り返し聞いており、以前からもっとも出かけたい旅先のひとつだった。
それこれで、5月初めの話題が次第に現実味を帯びてきて、おおよそのプランが決まってきた。
とはいえ仕事のスケジュールはままならぬ状態で、まずは、しばらく研修休暇をとる旨を関係先に連絡して日程を確保し、旅券や宿の手配を長男君に依頼した。
あとは暇な折々に、家内と二人で旅のガイドブックの拾い読みとインターネットでの情報収集。
今までまったく知らなかった場所や事柄について、情報がどんどん集まってくる。あらためて、いい時代に生きていることを実感する。
今回どうしてもこだわったのは往路の船の旅だった。
舞鶴・小樽を結ぶフェリーを利用すると、1日以上も余分な日程が必要になる。一方、そうすれば、船上とはいえ自由な時間をたっぷり確保できる。そんな時間を大切にしたいのが今回の旅の目的であること、さらに調べるに連れ、この大型フェリーの性能や快適さにも心を動かされて船旅に決めた。
また復路の空路選定も、できるだけ現地での自由時間を確保する方向で検討して、便のいい神戸空港への帰着とした。余計な荷物は宅配利用と車への積み置きをすることで身軽になる。ノートPCを収納した重いキャンパスバッグの運搬さえいとわなければ、これが最適のコースだ。
前日の移動(6月25日)
3人を乗せたプジョーは快調。夕方6時頃に、山陽自動車道を駆け抜けて舞鶴に向かうべく出発した。
山陽ICから神戸ICまでを走り抜け、そこから中国縦貫道を10kmほど岡山方向へ戻った後に、吉川JCから舞鶴若狭自動車道をたどって北上。舞鶴東ICには21時50分頃に到着した。
途中、三木サービスエリアでの夕食の予定を変更して、めったに立ち寄れそうにない西紀(にしき)サービスエリアに決めたのは大正解。一日限定30食の恵弁当は、竹で編み上げた弁当箱に詰められており、猪肉をはじめとする土地の産品づくしに舌鼓を打つ。弁当のお品書きは次の通り(惜しむらくはカメラを車に忘れて現物の写真がないこと)。
―― おしながき ―― | |
野生の猪肉 | 丹波で獲れた野生肉(備長炭焼き) |
百日地鶏 | から揚げ |
天然公魚 | 子持ちわかさぎの素焼き |
市島桜卵 | 桜海老の彩り焼き |
今田の揚げ | 稲荷仕立て |
たらの芽の天麩羅 | |
空豆の甘煮 | |
丹波篠山 | 黒豆コロッケ |
菊花賞 菜の花 | |
市島 | 合鴨米の八穀ご飯 |
焼き姫竹の味噌煮 | |
蓮根饅頭の餡かけ | |
サクランボ | |
柚子釜 | 黒豆入りプリン |
舞鶴港到着は22時過ぎ。あらかじめインターネットで予約しておいたチケットは「ペア88」。男女二人のペアで、合計年齢が88歳以上であれば30%特割というお得なもの。切符購入窓口で、国民健康保険証を提示して乗船手続きをする。
船の写真を撮ろうとするが、「はまなす」の船体は大きすぎて収まらない。えいやっと船首部分を撮影。 乗船手続き後にしばらく待ち時間があり読書。読みかけていた阿刀田高『続ものがたり風土記』の後半、北海道についての全3章の内、1章目をここで読了した。 23時半から乗船開始。乗船デッキから入ると、そこは4Fの案内カウンター付近である。部屋の等級によって手続きが別れており、一等船室組の列に並んで5Fの部屋のキー(No.537)をもらう。 |
船内はゆったりと明るい雰囲気でホテルの居心地だ。部屋に荷物を置いたあとは、後部デッキに出て出港を待つ。