名 称

がらんやま

所在地

小田郡矢掛町

標 高

292m

山行日

2022年11月8日

天 候

晴れ

同行者

なし

アクセス

JR伯備線~井原鉄道・矢掛駅からタクシーで西方院駐車場へ

マップ

    
    

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

正面登山口 11:25伽藍山分岐(八合目)11:55~12:10雌伽藍山山頂 12:16~12:23伽藍山分岐 12:30
伽藍山山頂(昼食) 12:39~13:45江良峠分岐(連絡のため小休止)14:10~14:33北側登山口 15:02
西方院 15:03~15:10向山橋通過 15:43矢掛駅帰着 16:21

1.正面登山口から伽藍山分岐へ

 矢掛駅から登山口がある西方院までは約4km。行きはタクシーで西方院駐車場へ乗り付けた。正面と北側に登山口があり、伽藍山の解説板が立つ正面登山口から山頂までを往復することにした。解説板には「頂上まで30分で登れて気軽に楽しめる山」とある。マイペースでゆっくり登ろう。

 解説板横のガラスケースに伽藍山ホームページ「おく山のお便り」伽藍山を印刷したものが掲示されている。伽藍山は男伽藍山(おんがらん)、その南隣のピークは女伽藍山(雌伽藍山:めんがらん)とも言うらしい。

 準備をしていたら挨拶の声が! グループ山行の下見に訪れたご夫妻だった。先行していただき、自分はゆっくり後を辿ることにする。防獣フェンスの扉をしっかりロックして出発! 歩きやすい道だ。

 お二人が立ち止まっている。近づくと赤い粒々の実のようなものがぶら下がっている。はて、何でしょうねと周囲を見回すと、緑色のもある。遠目にはマムシグサの実にそっくりだ。後で調べるとサネカズラであることがわかった。緑色は未熟なもので赤いのが熟したものだ。古くから日本なじみの植物で、万葉集にも「さなかづら」「さねかづら」として詠まれているとは、知らなかった。つる状の茎が絡み合うことから「小寝(さね:一緒に寝ること)」の掛詞とか、ふ~む。

 その先では、二本の木が絡み合うようにダンス。簡単に五合目に到着した。

 五合目からは土嚢が散在する道を行くと間もなく六合目。

 そして[←まわり道→]の標識が現れた。左右の分岐のどちらが近道か遠回りか分からないので、右を選択する。

 少しキツくなった傾斜をぐいぐい登ると大きな石がゴロゴロ。ベンチがあったので腰掛けてみる。

 左側にロープが現れ急坂が続く。

 そして、間もなく八合目の伽藍山分岐に着く。ここでしばらくご夫妻と話が弾み、伽藍山のコースマップをいただく。いくつものコースがあるので、山頂を単純に往復するのではなく、北回りに江良峠分岐を経由して西方院へ下りるべく予定を変更する。

2.雌伽藍山の山頂に立ち寄る

 まずは雌伽藍山を目指して南へ進む。道が判然とせず見通しも良くないのでテープが頼りだ。

 黄色の次は赤、その次は黄。とにかく、テープやロープのある方へと進む。

 黄・赤・白のテープが結ばれたあたりに大きな石があり、その周辺が雌伽藍山の山頂と思われる。

 これが山頂標識兼ガイド板だ。さらに南へ進むと藤ヶ峠へ下る。古い山頂標識のようなものも吊されているが、文字はほとんど消えている。

 眺望はなく、静かな空間をしばらく味わって伽藍山分岐へ引き返す。

 伽藍山分岐(八合目)からは急坂が続く。ロープを張った山道を登ると九合目の道標に出合う。

 このあたりから十二天散策コースがあり、道中には「帝釈天」「火天」「闇魔天」「羅刹天」「水天」「風天」「毘沙門天」「伊舎那天」の八つの石刻が残っているそうだが、今回はパスする。

 山頂を目指して最後の急坂を登る。落葉が多い急坂は滑りやすいが、ロープのお世話にならずにすんだ。

3.伽藍山山頂風景

 伽藍山解説板と登山ノートのポストが設置されている山頂。解説板にはここが極楽寺跡であること、江戸時代後期には毛利の出城(砦)が築かれた伽藍山城址でもあること、十二天の岩文字のこと、さらに地理上の特徴などが記されている。

 山頂標識があり三角点標石にタッチ。寺院や城があっただけに山頂は広く開けている。360度の眺望を得られるはずだが、茂った樹木に遮られている部分が多くて南側や近辺は見通しにくい。

 一角には祠が祀られ、背後の紅葉がきれいだ。

 北には以前に登った高妻山を中央に、左(西)に大倉山、右に鷲峰山が連なる。写真右は少し東に振った方で、矢掛駅から茶臼山トンネルを抜けた井原鉄道が東へ延びている。

 東には小田川が流れ、左に先日登った鷲峰山、右には猿掛山が見えている。先着して昼食を済ませたお二人は、江良峠から鷲の尾山頂を経由して貴布禰神社へ下山するべく出発。その折りに、江良峠方面への下山口を教えていただいた。山頂からは見えない位置なので助かった。
 ベンチに腰を下ろしてのんびりと弁当を広げる。雲が出てきたが穏やかな山頂。高いポールが立ち電飾らしきものが設置されている。春にはここに鯉のぼりが泳ぐらしい。

 山頂には「ひっつきもっつき」の花が一面に咲いている。正式にはコセンダングサ(小栴檀草)またはタチアワユキセンダングサ(立淡雪栴檀草)と呼ばれる可愛い花だ。歩き回ってふと気づくと、とげの着いた種子がズボンにも靴にもびっしり。これを取り除くのには手を焼いた。

4.江良峠分岐から北側登山口へ下山

 江良峠への下山口は山頂から2~3m下の東側にある。標識はないが道は明瞭なので分かりやすい。踏み込むとすぐにロープが見える。

 はてさて、ここから江良峠分岐までは激下りが続く。最初はロープでバランスをとりながら注意深く下りていたが、傾斜が急な上に落葉が多いのでまともに前進できない。途中からロープにぶら下がりながらズリズリ下りると楽ちん。このコースは手袋着用が必須です。

 汗をかきながら江良峠分岐に到着。いったいロープは何本あったのだろうか。10本を優に超えていたが、整備された皆さんには感謝です。これがなければ、落葉シーズンの下山はムリかも。

 薄暗い江良峠分岐で私的な連絡のために小休止する。鷲の尾山へはここを直進するが、西方院北側の登山口へ下りるので左折する。傾斜は緩くなったが積もった落葉には要注意だ。

 下り始めるとすぐに踏み跡が不明瞭になり、やがて頼りのテープも見えなくなる。

 蜘蛛の巣が多くてストックを振り回していたら、先が蜘蛛の巣の玉のようになった。しばらく進むと右の上方に赤テープが見えて、ルートを谷側に逸れていることがわかり、草木をつかんで登り返す。

 蜘蛛の巣を払い除けテープを追いながら「西方院 北」の伽藍山登山口標識にたどり着く。土塀が見えてきた。

 「消防水利」の立て札が立つ池があり、奥まったところに墓石が並んでいる。卵形の墓石は卵塔または無縫塔と呼ばれ、僧侶の墓塔であることが多い。ここは歴代住職の墓地だろうか。土塀に沿って下りて行く。

 こうして北側登山口の防獣フェンスに到着する。正面登山口と隣り合った地点への下山だ。

5.西方院に参拝して駅へ向かう

 西方院は行基菩薩が開基した12坊のひとつ。仁王門の木造金剛力士像は室町時代の作で町指定重要文化財である。

 西方院の好意で登山者に駐車場が開放されていて、さらに本堂入口にあるトイレを利用できる。ありがたい。本堂へ上り山行の無事を感謝して参拝する。

 西方院を後にするとすぐ先に大光院。ここも12坊のひとつである。

 近くの塀の向こうで柚子の収穫をしている。先日来あちこちのスーパーで見つけられなかったので、失礼ながら2~3個譲っていただけませんかと話すと、「ちょうどよかった、これを差し上げます」とビニール袋に詰めたのを手渡される。で、厚かましくもいただいてしまうことに。袋には形の良い真っ黄色のが10個、ありがとうございました。間もなく車道に出ると「伽藍山登り口」の大きな標識が立つ。

 ずっしりとしたビニール袋をザックに収めて、矢掛駅までウォーキングを開始。稲刈りの終わった田んぼに立つ白煙を眺めながら旧松山往来笠岡道を進む。向山橋を渡って国道に出て、1kmほど先の赤い鉄橋から宿場町矢掛へ入る。

 この道は旧山陽道だ。宿場まつり「大名行列」で何度か訪れた通りである。やがて旧矢掛本陣石井家住宅の前を通過して文化センターへと左折。その先を右折して、西方院から1時間ほどで矢掛駅に帰着した。