名 称

くまやま

所在地

岡山県赤磐市・備前市・岡山市・和気町

標 高

507m

山行日

2022年3月29日

天 候

曇り後晴れ

同行者

「大山、立山の会」の仲間たち

アクセス

車で弓削八幡神社の駐車場へ

マップ

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

弓削ルート登山口スタート 9:40龍神山分岐通過 10:39弓削ルート八合目 11:19弓削ルート九合目 11:27
熊山展望台(昼食)11:37~12:36熊山神社 12:44~12:50万富コース八合目 13:09
岡山市消防局熊山無線中継所 13:23龍神山山頂 13:52~13:56龍神山分岐 14:01
弓削コース三合目 14:21弓削ルート登山口帰着 14:43

1.弓削コースを龍神山分岐へ

 車での道中はどこを移動しているのかわからず、風景をキョロキョロと追うばかり。熊山駅方向とは様子が違うと思っていたら、着いたのは弓削八幡神社の駐車場。付近の桜は二~三分咲きだろうか。薄曇りでもあり春の陽気が満ちている。

 登山口には立派なルート案内板が設置され、小さな小屋にはパンフレットが入っている。案内板に「熊山石積遺跡まで約3.5km、徒歩約2.5時間」とある。登山口から龍神山入口までの距離は約1,600mで、この間に標高差300mほどを登るのだから、出だしは少々きつそうである。

 まるで傾斜がないように写っているがここは急坂、そしてしばらく急坂の連続で・・・。うーむ、運動不足か加齢のなせる技か? 何とか着いて行けたのは、腰に不調を抱えながら先頭を行くリーダーTさんの休憩のとりかたに負うところ大で、感謝である。もっと、ゆっくり行きましょう!

 ひたすら歩いて20分、右手にちらちらと展望が。傾斜も緩くなって快適な山歩きだ。今日は9人の予定が8人で出発。どうやらJさんが熊山駅側へ行ってしまったのでは、と話しながらの前進。が、Jさんは山のベテランなので心配の気配はゼロ。

 「よくぞ踏まれなかったね!」階段の丸太の脇に小さなスミレ。君はタチツボスミレだったよね。ところどころにコバノミツバツツジが開花し始めている。桜が散り始めるころを待ちかねて山を彩る花だ。

 このあたりは標高300m前後かな。吉井川の姿が美しい。南には坂根堰と山陽新幹線の鉄橋、その向こうには長船町の街並みと備前大橋、長船カントリークラブまで見渡せる。

 西寄りには以前に登った三谷山が見えている。2~3分で小さな標識に出合う。龍神山への分岐で、右へ細い道が開けている。

2.熊山石積遺跡・展望台へ

 龍神山分岐から3~4分進むと、今度は龍神山への木札の道標があった。週に一度は熊山を歩いているKさんが、「帰りはここを登ります」とアナウンス。これは楽しみだ。

 再び眺望のきく高台に出た。西を振り返るとゆったりとした本宮高倉山の姿(写真右)。真ん中に小さな丸いのは、このサイトの「プロフィール」でも紹介している桃の形のガスタンク。背後の山並みは金山から笠井山である。

 自分の前を歩くKさんは、数々の古道・街道を制覇した健脚の人。山歩きを始めるのが遅くに失したとしながら、百名山にも取り組まれている。静かに、バランスを崩すことなく歩くのが印象的だ。自分はといえば、時折、振り子のように揺れながら後を行く。足もとに細い渓流が現れて足場に要注意。

 峠に出た。「経盛山頂上」への道標がある。このあたりから山頂へ向けていくつものルートがある、とKさんから教わった。

 山土の溝のような道を進むと、古びた「八合目」の道標。

 そのすぐ先に「石積遺跡 風神山1号・2号」の案内板があり、奥に岩盤を積み重ねたオブジェのようなのが見える。

 次いで「炭焼窯遺跡」の案内板。廊下のように平坦な道を進む。

 5~6分でやや幅広い道を横切り、落葉の道を下りてわずかに登り返すと「弓削コース9合目」の木札が掛かっている。

 その先の木の根っこの道を進むと「万富駅方面 4.5km:鍛冶神社 400m」の案内板がある。

 間もなく、熊山神社から熊山遺跡へ通じる道へ飛び出した。天然記念物の大杉を見ながら展望台に到着する。ここでゆっくりとランチタイムだ。いつものことながら、仲間たちから菓子や果物やコーヒーをご馳走になる。非常用にひと欠片のチョコレートと飴玉しか持参する習慣がなく、いつも申し訳なく頂戴するばかりで恐縮至極。

 熊山遺跡管理棟の壁には熊山神社の「春の大祭」の貼り紙。4月17日(日曜)に開催。しかしコロナ感染防止のために、神輿(みこし)の巡航は取り止めとある。隣の伝言板には「わんぱくアドベンチャー」や自然学習の「ドキドキ日程」などの年間スケジュールが掲示されていて、この地域の子供たちは「ちょっと羨ましい環境にある」ことを知った。

 500mの高度は春の訪れにブレーキをかけているようだ。まだわずかではあるが、蕾をほころばせ始めている桜が一本。熊山遺跡付近のたくさんの八重桜は蕾の様子も定かでない状態だ。

 展望台に居た何組ものグループが去ると、またいくつものグループや家族連れ、単独ハイクの人たちがやって来る。そして昼食が終わりかけたころ、気がかりだったJさんが元気いっぱいで到着して拍手でお迎えする。モヤってはいるが、遠く瀬戸内海から小豆島方面を見渡せる眺望は毎回感動だ。

3.熊山神社から龍神山を経て下山

 足を運ぶことが少ない熊山神社に詣でることに。展望台とは一転して閑けさが支配。備前焼の狛犬、阿の狛犬は左足先が壊れ、吽の狛犬は左脛にひびがあるのが痛々しい。

 熊山神社の長い階段を下りる。その先は9人が一列に並んで整然と前進する。

 「弓削コース9合目」「石積遺跡」までの標識は確認したのだが、次の分岐で行き過ぎたのに気づくべきだった。右手へ進むのを間違えて、送電鉄塔へ向かう舗装道路を歩いてしまう。

 おかしいなぁと言いながら送電鉄塔に対面する。東の山裾にタムシバの白が美しい。

 その上方には山頂の電波塔が見えている。車両止めと思われるチェーンがあり、その脇を進む。ここは以前に「古代吉備国を語る会」の皆さんと歩いた記憶がある。ずり落ちるような細道の先に石積古墳があった場所だ。

 道なりに進むと電波塔が現れた。近づくと建屋の壁に「岡山市消防局熊山無線中継所 」とある。

 今回は誰も地図を持ってないので場所も進行方向も特定できない。冒険めいた面白さの中、道を探して建屋の裏側に細道を見つける。それをたどると往路に出て、見晴らしの良い高台にに着いた。ここで小休止する。眼下の三谷山を眺めながら、10年前の冬の夕暮れ時に三谷山から見た風景を思い出す。

 龍神山の道標まで戻ってきて、岩が多い急坂をよじ登る。

 344mの山頂には壊れた祠の跡がある。劣化して壊れたため現在は登山口の弓削八幡宮に移していて、その旨を記した記念柱が建っている。

 張り出した岩場からKさんの歌声が聴こえる。よく通る声に聴き惚れて眼下の風景にシャッターを切り忘れる。「山水画のようでしょう」というJさんの声で東にカメラを向ける。ほんとうだ! ここからの下りの急な崖は、Tリーダーのアシストで無事にこなすことができた。

 続く細道を進むと龍神山分岐に出た。後は軽快な下りに足を踏み外さないように気をつけるだけ。

 往路では気づかなかった「三合目」の素敵な道標を発見。カメラの電池メーターがアラームを表示して、これが最後の一枚になった。写真の最後は、到着時に撮った弓削八幡宮の山門を充てた。撮影できなくて残念だったが、朝見た桜が、下山時には五分咲きほどになっていた。春の時間の重さを身をもって感じる山行でもあった。