1.泉勝院に参拝して近道を車道出合へ
時間の都合で、金光駅から泉勝院前まではタクシーで移動し、山歩きの前に参拝する。
泉勝院は承和年間(834~848)、遙照山西谷に慈覚大師円仁によって開基されたと伝えられ、宝永元年(1704)に現在地に移転した天台宗の寺である。仁王門には二体の仁王が祀られている。本尊は京都清水寺と同じ千手観世音菩薩である。本堂とその南に鐘楼門があり、参道の両側には西国三十三観音の石仏が祀られている(解説板から要約)。
拝観を終えて泉勝院の前を東に歩くと、左手に登山口の標識が見えてくる。
踏み込むとすぐに分岐で、「本道」「近道」の道標があり近道を登ることにする。10分ほど登ると、右側に石垣があった。
近道は歩きやすい。さほど急坂もなく道もよく整備されている。ただこの季節なので、落ち葉が積もっていて下りでは滑りそうだ。
ピンクのテープが見えると、その先で近道と本道が合流している。
ここが前回に下山ルートを取り違えた場所。厚着のお地蔵様が座っていらっしゃって、アレッ、11月にはオレンジ色の帽子と前掛けを着ていたのが、赤色の模様と縁取りに変わっている。
お地蔵様から5分ほどで車道出合に到着した。いよいよ問題の崩落ルートだと思っていたら、男性が先を歩いている。同じように考える人がいるもんだと妙に感心する。これは心強いぞ。
2.通行禁止の車道を木野山神社へ
歩き始めると黄色いマウンテンバイクの若者がやって来た。しばらくためらっていたが、やがて追いかけてきて、挨拶して抜き去っていった。これで前方には二人の先兵がいるわけで、ますます安心(?)。
素晴らしい眺望を楽しみながら歩いていると山側が崩落している。崩落面には大きな石がむき出しになっていて、強い地震があれば落下の恐れがある。以前そんな経験をしているので足早に通り過ぎる。崩落ってこれだったのか、これでもう大丈夫と決め込んで呑気に前進。
見事に黄葉した木々、枯れてなお自然の造形美を主張しているものもある。
足元にはアキノキリンソウの黄金色。向こうにあるのはベニバナボロギク。
うららかな日和の車なき車道を歩く。オヤッ、車が乗り入れられないはずなのに車が見えるぞ。
近づくと工事用車両や建設用の重機。その向こうにはゾッとするような道路の崩落。何とか通り抜けて振り返ると、足を置けば崩れ落ちそうなもろい道路だ。道幅が30cmもないのでは? 黄色いマウンテンバイクの若者は肝を冷やしたろうなぁ。
通行止めのガードを越えてしばらく進むと、前回に下竹登山口からたどり着いた分岐(マップでは下竹分岐と記載)に到着した。右の方へ下って行く。
5分ほど進むと左に池が現れる。
道は池の縁を回り込んで東へ延びる。
坂道を登って行くと、両側が岩で覆われてくる。
上り詰めると左に手洗い鉢。正面に木野山神社の岩屋がある。
岩屋左の祠の姿をカメラに収める。右の岩屋の木組みで作られた祠は朽ちかけている。
岩屋の裏には大きな岩が積み上がっている。三角点があるはずだが分からなかった。
帰りは、分岐を左にたどる。細い沢があり踏み石が置かれている。水は流れていない。
やがて突き当たりに出ると、前回通り過ごした木野山神社の石柱が建っている。このあたりはイノシシが多い。右にとって、乾燥したヌタ場を踏みながら登って行く。
3.崩落車道を車道出合へ戻る
ヌタ場を抜け出した広場の片隅に、木彫りの仏像が二体立っていた。前回はまったく気付かなかった。
轍のある道に出た。まだしっかりと紅葉が残っている。
再び舗装道路に出て下山に取りかかる。
道路が崩落している所へ戻ってきた。この大きくえぐれた部分が、どうすれば復旧できるのか想像もつかない。
並んだ重機や工事車両に「ご苦労さん」、事故を起こさないように頑張れ! 不思議だねぇ、すぐ近くにはこんなに磐石な地層もあるのだが・・・・。
空気が旨い。眺望が素晴らしい。何度も足を止めながら車道出合に着く。車が何台も駐車している。ここから山道を歩けば、難波池キャンプ場や山頂を目指すことができる。
4.車道出合から本道を戻る
泉勝院登山口へ下りるので、加賀池分岐はそのまま直進する。厚着のお地蔵様まで戻ってきた。
前回はここを左へ入ってしまったのが失敗。送電線保守標識が立つ右へ進む。間もなくピンクのテープが目印の本道・近道分岐になり、下山は本道を歩くことにして左へ上がる。
ひと登りすると送電鉄塔と出合う。
鉄塔を通り過ぎたすぐ右に、木立を通して岩が見えたので踏み込むと大岩が鎮座している。座り込んで熱いお茶を飲みながら昼食をとる。
南には金地池や枡池が見える。南西遠くに、浅口市天草総合公園の銀色ビッグハット(ドーム付き運動場)が見えている。
下方には最初に参拝した泉勝院。枡池の背景の連山は沙美アルプス(備南アルプス)だ。
昼食の間、背後を2組のカップルが通り過ぎる。車を使えば楽に登れる山だが、本当の楽しさは歩いては立ち止まり、体全体で自然を感じることだろう。ここはそんな人たちが行き来するルートだ。食事を終えて歩き始めると次から次へと大きな岩が現れる。
ピンクテープが結ばれて「カガ池」の道標。ここは直進するが、次第に勾配が急になる。
粘土質の土に石がはみ出した路面。落ち葉は少ないのだが、ザラメ状の砂が散在していて滑りやすい。ストックを使いながらズルズルと下降して本道・近道分岐に着く。
無事に登山口へ帰着する。好天にも恵まれ、晩秋の黄葉風景を楽しみながら予定のコースを歩くことができた。近道ルートがあるとは知らなかったのだが、泉勝院登山口から登る場合はこのルートがお勧めだ。小休止して金光駅へと向かう。金光駅までは徒歩で20分ほどだ。