1.新瀬川バス停前登山口~五合目・小谷分岐
新瀬川バス停に着いたが、運転している二人は「霧の森交湯館」の駐車場まで引き返さなくてはならない。1台を駐車場に預けて、もう1台で戻ってくる間、ストレッチなどをしながら待つ。じっとしていると、かなり寒さを感じる。
9時54分に山行を開始する。登山口には「塩塚峰登山道 一合目・秋田口」の表示。辺りにはかつて棚田があったようで、大小の石を巧みに積み重ねた石垣が見られる。周辺には植林と思われるシキミが沢山ある。
なだらかな坂で始まり、可愛いアザミを見ながら進む。
登山道はすぐに左折して、緩い下りを行くと沢があり板橋を渡る。
続いて急な岩の階段だ。傍らにマムシグサが花をつけている。紫褐色のまだら模様が見当たらないのでアオテンナンショウかも知れない。
早くも二合目に到着する。標識に「トドロの滝」とある。「轟の滝」と呼ばれるものは多く、日本の滝百選にも3つ見られるが、この「トドロの滝」はやや小ぶりである。流れで浸食された岩盤には、幾重にも地層が水平に走っている。
しだいに傾斜がきつくなり、登り着くと沢が現れて岩を踏んで徒渉する。三合目に着くとわずかな時間だが小休止して深呼吸をする。標識からここは「轟の休場」と呼ばれる場所らしい。
ガクウツギの白い花、黄色いニガナの花を見ながら四合目に到着した。登山口から50分が経過している。標識には「やまびこ」と書かれているが、ヤッホーと叫ぶ余裕はない。深呼吸して小休止するのが精一杯である。
上方に伐採地が現れた。丘のような地形が伐採されていて、その右に沿った谷筋を登って行くと五合目に着く。木の切り株に標識が結ばれている。ここが小谷(こだに)分岐である。
2.六合目・ベンチ~山頂に向けて
五合目を越えて後半になっても棚田跡の石垣が累々と続く。汗が噴き出し息切れするが、この光景には励まされる。
これでもかと繰り返す急坂を進む。道はわずかにジグザグになってはいるが、直登しているようにキツい。それを登り切ると「六合目・ベンチ」の標識。登山口から1時間10分近くが経過している。
しっかりとしたベンチがあり、やっと腰を下ろすことができた。仲間からいろんな菓子類をいただき体力アップ。六合目のさらに上に最後の棚田跡があり、よくこんなに高いところまで開拓したものだと感心する。急斜面の山地でこれだけの棚田を維持し、水をコントロールする苦労は計り知れない。
5分間の休憩をとってから七合目を目指す。こんな姿勢でよじ登って行く。ちょっと立ち止まると、美しい山並みが見えているのだが・・・。
七合目の大岩が見えてきた。ここは休憩せずに通過する。
林道出合が近くなったはずだと力を振り絞る。タビラコが黄色い可憐な花をつけている。
このコースでは珍しい木の階段が現れて、それを登ると林道(車道)に出た。
道を渡った先に八合目の標識があり、この先の「がまん坂」に備えて10分近い休息タイムをとる。南の一角にこんな眺望が開けている。
苦難のがまん坂登りである。ずり落ちそうなのをがまんして登っていると、足が攣りそうになり立ち止まって足首を回す。九合目までのコースタイムは10分程度と分かっていたので、ひたすら前進する。そして11分後、九合目の稜線分岐に到着するとみんな不動の姿勢、北に開けた眺望に息を呑み固まっている。
山頂は左側だが、右に進むと展望台があるので踏み込んでみる。東屋が確認できたがかなり距離があるので引き返す。
山頂への道の右手にはススキのスロープが広がっている。一同整然と列をなして前進する。
ところが、「あっ、ワラビ!」「おっ、ゼンマイも!」ということで匍匐前進(ほふくぜんしん)のペースにギヤ・チェンジ。今までの疲労はどこへ? いやはや、女性のパワーは驚異的です。
3.塩塚峰山頂風景
塩塚峰山頂には吹き流しが立てられている。まずは山頂標識の前に立ち、二等三角点にタッチする。
こんなに眺望の素晴らしい山頂にはめったに立てない。四国四県の山々を一望することができる。が、山名がまったく特定できなくてトホホ状態。北には遠く瀬戸内海まで見渡せる。
北西の下方には、今は閉鎖されている塩塚高原野菜集荷場や関連施設が見えている(写真左上)。「以前に登った紫雲出山と三崎灯台が見える」とOさんの声。ほぼ真北に灯台が白く光っている。ズームで迫るが、点のように小さな灯台は写らなかった(写真右上)。写真には収まってないが、すぐ右隣には以前歩いた七宝山も見えている。
北には雲辺寺山も見えると聞いていたので探すが分からない(写真左下)。中央の三角形がそれかと思われるのだが、電波塔が林立しているのがおかしいようにも思われる。ズームで近づくと、その左に我拝師山らしき特徴のある山が見えている(写真右下)。
そんなことで山名はさっぱり分からないのだが、おおよその方角と広がるパノラマを掲載しておきたい。
〔北西~北側〕
〔北~北東側〕
〔西側〕
〔南東~南西側〕
4.霧の高原ロッジ方面へ
最高の風景を楽しみながら昼食をとる。ゆっくりと過ぎる充実したひとときを堪能して、12時半を回ってから下山に取りかかる。急な木の階段を霧の高原ロッジへ向かって下りて行く。
平坦な道に下り立って山頂を振り返る。こんもり盛り上がった穏やかな山容をカメラに収める。そこから霧の高原ロッジへ向かう道がわかりにくくて右往左往したが、「塩塚峰 0.7Km・パラグライダー基地」と書かれた道標の位置を右折すればよい。ただし、この道標はかなり傷んでいるので要注意。
北へ延びる真っ直ぐな道を進むと「霧の高原」の道標が見えてくるので、その方向へと左折する。
舗装された道路をしばらく歩くと霧の高原の施設が見えてくる。立派なデイキャンプ場が設置されている。
隣り合って清潔なトイレがあり、炊事棟と炭火炉を設置した建家がある。アウトドアライフを満喫できそうなエリアだ。
下方にはセンターハウス(管理事務所)とバーベキューハウスを中心に、いくつものコテージやオートキャンプ場が広がっている。
霧の高原から車道を西へ進む。「林道丁字路」のポイントから下山道に入るため、標識に注意して前進する。「林道塩塚線」の解説板が立ち、「7」の表示と共に「下山道(栄谷・自然の家方面)」のプレートが取り付けられている。左折すると山道になる。ここにもガクウツギの花が美しい。
どんどん進んで登山道への入口を見逃してしまい、行き止まりになる。地図を見直して山側からの下山路がある辺りへ戻ると、「少年自然の家」の道標があり林の中へ下る細道が見える。
少年自然の家はかなり離れた場所にあることから、道が違うのではないかとの意見もあったが、この位置以外に考えられないので踏み込んで行く。杉林の中を急な下りが延々と続く。
林を抜けてやっと明るい場所に出たが、目安の通過地点「赤松の休憩所」がいっこうに現れない。再び林に入ると間もなく「5・赤松の休憩所」の標識と出会う。ずいぶん長く感じていたが、林に踏み込んでから30分ほど経っていた。
急坂をさらに15分下って「4・小谷徒渉点」に着き、水の無い沢を渡る。
道の傾斜が緩くなって「3・炭焼小屋」に到着する。炉の一部が崩れて炉内にも火の跡がないので、現在は使われていないようだ。
犬の鳴き声が聞こえ、ぽつりぽつりと民家が見えてくると間もなく舗装道路に下り立った。道標から外れ落ちた「塩塚山登山道」のプレートが立て掛けられていた。
苔玉が沢山ぶら下がっている民家の脇を通り、車道と合流すると堂成登山口だ。右折して車道を進むと5分ほどで霧の森交湯館の駐車場に到着する。
新瀬川バス停近くに停車してある車を引き取りに出かける二人。その間、お先にと霧の森交湯館の温泉でゆっくりくつろぐ。お二人さん、大変お世話になりました。