6時頃起床して窓を開ければ、何と、青空が見える。
これは少しでも早く出発しなくてはと、別室の長男君に連絡して早々に出かける。
まず十勝岳の勇姿をできるだけ近くで眺めること。続いて麓郷の森を訪問。
やや早めに旭川へ引き返して、三浦綾子記念館にも出かける予定だ。
ビバ大雪山国立公園、ビバ十勝岳連峰
何て幸運だろう。祈りが通じてか、向かう十勝岳連峰の山の端がはっきり見えている。あちこちの雪渓もくっきり見える。活火山であることを示す煙が山頂から立ちのぼっている。 それでも予報は午後12時から雨、山沿いに雷雨予報がでているので急がなければならない。 |
望岳台登山口駐車場には乗用車が溢れている。いずれも登山者たちのもののようだ。手前の山の稜線に、登山を開始したばかりの豆粒のような隊列が見える。
すぐそばを登山の装備をした3人組が通り過ぎる。男性と女性二人だが、ずいぶんゆったりとした歩みで進んでいく。ふと、先日本屋で見た田部井淳子さんの『いつでも山を』を思い出す。無理なくゆっくり楽しめる山登りを再開してみたいなと思う。
「継続は力なり」というが、ゆっくりでもいいからたゆまず歩んでいれば、確実に距離をかせげることを示してくれるのが登山である。わずかな間に3人の姿が遠くなった。
「望岳台」の碑の付近で、形のよい火山岩を拾った。この辺りから、ちょうど伯耆大山のそれと似た砂滑りを望むことができる。下山時にはこれをザザーと一気に降下することができるのかな?
続いて十勝岳温泉登山口へ向かう。
ここも駐車が多く、路肩に止めている車も少なくない。
登山口には立派なトイレがあったので入ってみた。便器は簡易水洗ではあるが手洗いは自動であり、こんなところに登山者への配慮が感じられる。
案内板の向こうには三角屋根のついた小さな入林記入台があり、今まさに、重装備の山男4人組が入山しようとしている。
富良野の里風景
美瑛と同様に、富良野の里の家々は絵になる。真っ直ぐに大きな起伏で伸びる道路も似ている。
麓郷の森への途中、小高い丘から富良野の里を望むと、まるで航空写真でも眺めているようだ。
美瑛のひとつひとつの畑の広さには驚いたが、ここも同じで、それらが平地にあることから農家一軒ごとの分布がよくわかる。場所によっては隣家までかなり離れている。
さらに進むと、ドラマ『北の国から』のロケに公民館として使用された「北の沢小学校分校」があった。現在は本当の公民館として使用されているとのことである。 |
麓郷(ろくごう)の森散策
畑中の道を走っていくと牧場がちらほらと現れ、やがて麓郷の森に到着する。
麓郷の森は昭和59年にオープン。テレビドラマ『北の国から』で使われた「五郎の石の家」や「風力発電の風車」、「最初の家」などが森に配置され、散策できる。それぞれの家は、構造上危険なものを除いて、中に入ることができる。
ドラマの時系列順序とは異なるが、まずは「拾って来た家~やがて町」のエリアから巡ることにする。
「雪子の家」「純と結の家」「バイオ発電」などが広がっている。それぞれの家の内部から見た窓の風景が気に入って、何度もシャッターを切る。
すみえの家 |
五郎さんの四番目の家 |
雪子の家 |
雪子の家の窓① |
雪子の家の窓② |
雪子の家の窓③ |
純と結の家・左 |
純と結の家・右 |
麓郷の森は、そもそも『北の国から'84夏』で五郎の丸太小屋が焼失することになり、それを機に丸太小屋を移設して、新しい観光の拠点を作ろうとしたことから誕生したものだそうである。つまり焼失シーンにはセットを使用し、丸太小屋は事前にここへ移されたわけである。
田中邦衛の扮する五郎と可愛い子供たち、純と蛍(吉岡秀隆・中嶋朋子)の姿が浮かんでくる。家の造りや佇まい、内部に置かれた生活の品々や道具類、これらが醸し出すものに少年時代の原風景を見る思いがした。
このように、今ではすべてがこの地の風景と訪れる人たちの心にとけ込んだ存在になっているようだ。
次に「麓郷の森」エリアを巡る。
麓郷の森 入口付近 |
森の風景 |
正吉と純が燃やした丸太小屋 |
その内側から窓をのぞく |
'87初恋の頃の家 |
|
ここから少し移動すると風車をともなった「五郎の石の家」エリアだ。 (石の家と風車) |
「小野田そば」での遅い昼食と「北時計」の珈琲タイム
『北の国から』に居酒屋として登場したそば屋である。
夏の観光シーズンには1時間待ちの行列ができるという、手打ちそばが人気の店である。中にはいると、壁一面に有名人の色紙、手紙やカードの類が、品書きといっしょに貼り付けられていた。
倉本聡監督、俳優の地井武男、笠智衆のものも見える。
注文したざるそばは、できあがるまで時間がかかる。店の奥に、店主(漫画家でタレントの蛭子さんに似ている)が蕎麦を打っている。打ちあがりを待って、茹でて冷やして出来上がり。太くてこしが強く美味しいが、野菜天麩羅などと一緒だとなお良さそうだ。
喫茶「北時計」は、富良野駅から10分ほど走ったところにある。『北の国から』に登場したログハウスの喫茶店だ。想像していたより大きく、太い丸太をがっしり組み合わせた堅牢な建物で、店内の自然で明るい雰囲気も素晴らしい。ここでゆっくりとコーヒーをいただく。
富良野駅と美瑛ぜるぶの丘
「北時計」の帰りに富良野駅に立ち寄る。といっても、車の中からシャッターを切っただけなのだが。
その後は、美瑛の「ぜるぶの丘」に車を止める。幹線道路からよく見える位置に広がっているので、昨日から気になっていた。 降り立つと、よく手入れされた花々が美しい。しかし、あまりに大規模なパッチワークの畑に馴れきったせいか、観賞用の花畑にはもの足りなさを感じてしまう。
三浦綾子記念文学館
旭川で足を運びたい場所として、三浦綾子記念文学館と北海道伝統美術工芸村、あさひかわラーメン村の3カ所を選んでいた。しかしどうしても時間が足りず、かといって忙しく駆け足するのは嫌なので、三浦綾子記念文学館にしぼった。
到着したのは閉館1時間前の午後4時頃。
「ひかりと愛といのち」をメイン・テーマとして5室に分けられた展示。恥ずかしながら、未だこの人の著作を読んでいない。これを機に読んでみようかと思っている。
独りの女流作家が成した数々の偉業、執筆ノート、病魔に苦しみながらの生きざま、そして口述筆記の相方を務めた夫の光世のことなど。それぞれの展示室を巡りながら、充実した時間をもつことができた。
買物公園散策とホテルでの夕食
少し早めに予定を切り上げたので、夕方からゆっくりと買物公園から旭川駅方面を散歩した。
「買物公園まつり」の最終日であり、通りの2カ所に人垣ができている。ひとつは大道芸、もうひとつはヒップホップにのせてダンスをやっている。全体的に旭川の人は、その服装なり動作からして開放的な感じがする。厳しい冬が去った解放感を、われわれに倍して謳歌しているからに違いない。
夕食はホテルのレストランで豪勢?に。やはりビールと酒は欠かせない。
今日は天気予報が大はずれでまったく雨とは無縁、まことに快適だった。