名 称

しらたきやま/しらたきさん/しろたきやま(いんのしま)

所在地

広島県尾道市

標 高

白滝山 226m

山行日

2023年4月4日

天 候

晴れ

同行者

なし

アクセス

JR尾道駅前から「おのみちバス因島行き」で因島北IC入口下車

マップ

    

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

因島北IC入口バス停スタート 11:07一本松 11:11百華園入口 11:26~11:30白滝山荘 11:36
白滝山登山口 11:43仁王門 11:48~11:50遊歩道分岐 11:54白滝山山頂(食事)12:16~13:35
裏参道下山開始 13:35百華園入口 14:08一本松周辺(買い物など)14:20~14:24
因島北IC入口バス停帰着 14:30

1.因島北IC入口バス停から白滝山登山口へ

 JR尾道駅から因島方面へはバスの便が良い。駅前すぐの7番乗り場から土庄港行きに乗車して約30分、因島北IC入口で下車する。

 因島は室町時代から戦国時代にかけて、村上海賊(水軍)の活動で知られる歴史の島である。ここには因島八十八ヶ所札所があり、「弘法大師が因島へ渡られた」という噂に始まる因島札所伝説は誠に面白い。一方、この地では因島重井町文化財協会を中心とする文化遺産の保存・継承の取り組みが随所に見られる。
 写真左はバス停から西へ100mほどの場所。先人から大切に受け継がれてきた銘木「一本松」が枯死した後に植樹された黒松で、傍らに「一本松の由来」の解説板が立つ。また写真右は、一昨年(2021年)に設置された「重井村四国八十八ヶ所」の石碑であり、いずれも同文化財協会の解説が記されている。

 一本松からフラワーセンターまでの南北道路は「伝六ロード」と呼ばれ、各所にこんな案内板が立っている。バス停から白滝山へアプローチするのに便利な道だ。一本松から北へ向かって歩き始める。

 600mばかり進むと右側に伝六ロードの案内板が立ち、道を挟んで「重井村四国八十番・国分寺」の祠がある。この道を右折すれば登山口への最短コースになるはずだが、さらに直進してみる。

 突き当たりが伝六ロードの終端で石灯籠が建つ。右折してフラワーセンターの南側を進む。

 あいにく火曜はフラワーセンターが休館日で立ち寄れない。少し進むと「百華園」の名板がある。

 すぐそばに夏ミカンと八朔ミカンがたわわに実をつけている。左に山側への道があり山歩き用の杖が具えられている。ここから上の一帯が百華園だ。

 百華園とは逆方向の白滝山荘側から登りたいので、右へ進んで次の角を左折する。舗装道路が延び、その先は満開の桜に彩られている。

 いんのしまペンション白滝山荘は、アメリカ人建築家ヴォーリズが宣教師のために建てた住居で、広島県近代化遺産と文化庁有形文化財に登録されている。

 この佇まい、以前に近江八幡で見たエキゾチックでノスタルジックなヴォーリズ建築の街区を思い出す。山側に煉瓦積みの塀と階段があり、そちらからも山に入れそうだ。

 山荘前を直進すると桜並木。散り始めのようだ。ふかふかの八重桜もある。

 緩やかな傾斜を歩く。コバノミツバツツジがいっせいに咲き始めている。

 表参道駐車場があり車はここまで。ここが白滝山の登山口だ。石碑には白滝山の五百羅漢や山頂風景などについて記されている。「白滝山参道」のパネルが設置されていて、一時通行止めになっていた八栗寺ルートが現在は通行可能であることがわかる。

2.白滝山山頂へ

 少し進むと石仏と石塔が並んでいる。これは観音堂の歴代堂守の墓である。

 その右側には伝六の墓があり、解説板「五百羅漢創始者伝六の一代記」が立つ。

 緩い傾斜の舗装道路を登ると、尾道因島ライオンズクラブ寄贈の「瀬戸内海国立公園 白瀧山」の解説板。白滝山の由来・現状と吉井勇の歌が綴られている。

 左に巻いて進むと仁王門に着く。石で造られた厳しい表情の金剛力士が両脇を固める。

 駐車場から0.2km、休憩展望台へ0.5kmの道標。階段の途中では六地蔵がお出迎えだ。

 階段の上部は細道に変わり、谷側をツツジが彩る。

 突き当たりは左右に分岐し、右側は八十五番札所・八栗寺への遊歩道。ここは左の参道を進む。

 見上げると八栗寺の御堂が見え、その上に山頂の建物と展望台が見える。このあたりから岩場に並ぶ石仏が増えてくる。

 三丁の丁石があり、丸太の階段と石段が続く。

 平坦な道になると、八合目フラワーライン駐車場からの道が合流する。当日山頂で会った人たちの大半は八合目駐車場を利用していたようだ。山頂まではあと140m、徒歩6分と示す道標。

 道の両側はツバキとコバノミツバツツジの競演だ。

 一丁の丁石があり山頂までは100m、道が表参道と裏参道に分岐している。行きは表参道を登ることに。

 岩に刻まれた慈母観音。赤子を抱いた優しい姿をクローズアップ!

 急な階段を登ると頭上に休憩展望台の足場が見えてきた。

3.白滝山山頂風景

 最後の急階段を登って山門をくぐる。最初に目に入ったのは「白滝山霊異記」の解説板。白滝山が山岳信仰の山であったこととそれにまつわる伝説、村上新蔵人吉充(しんくろうどよしみつ)が観音堂を建立したことなどについて記されている。

 正面には「恋し岩」への道標、右側には石造りの多宝塔がある。

 まず「恋し岩」へ行ってみる。何と哀しい伝説ではないか。ここはパワースポットで「触れると恋がかなう」と大人気とか、タッチしないでソーッと立ち去ることに。

 中央が観音堂で「番外札所・白瀧観音堂」の立て札。左は土足禁止の休憩展望台。写真右は観音堂の扁額。

 観音堂の横からは、因島と向島を結ぶしまなみ海道を一望できる。因島大橋が美しい。

 眼下に山腹を走る白滝フラワーラインとロータリーが見える。八合目駐車場はロータリーのさらに手前になる。境内に戻って「山頂石仏案内図」を眺める(画像をクリックすると拡大表示)。

 釈迦三尊(普賢菩薩、釈迦如来、文殊菩薩)、釈迦の十大弟子と十六羅漢(その一部)。

 過去七仏の一部と三大師坐像(達磨大師、弘法大師、道元承陽大師)。

 ずらりと並ぶ石仏たち。一観夫婦像(妻と伝六)。

 鐘楼と、亀裂ができて保存された古い鐘と梵鐘伝承碑。

 展望台から西の方向にはゆったりとした佐木島。仲間たちと登った大平山が懐かしい。手前には重井町の町並みと馬神山がある半島、その右に太陽光発電所などが見えている。

 展望台から北西には小細島と細島、その向こうは三原市で、手前には因島鉄工団地が見える。

 展望台から北東の位置に「日本大小神祇」と刻んだ石碑が建つ。これが何かわからなくて調べていたら、ブログ「昔に出会う旅」で次のような記述を発見した。ブロガーの子細は不明ですでに更新を停止して久しいので、その記述だけを以下に引用させていただく。
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  頂上の展望台の東側にある「日本大小神祇」です。
  私は、てっきり古代祭祀の施設かと思っていました。
  管理人さんの説明では儒・仏・神・基の四宗教の統合体としたのがこの施設で、
  一観(伝六)さんはこれを象徴として拝んでいたそうです。
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 と言うことで、一観教の象徴的な石碑であったらしい。左隣の岩はゴリラ岩と呼ばれている。少々モヤっているが、南には生口島大橋も見える。

 展望台では少し先輩と見受けられるご夫婦と、少しお若い男性と元気のよい奥様にお会いした。先輩男性は因島の住人で地理や歴史に詳しく、風景を指さしながら地名や地域の特徴、伝説などを教えていただいた。若い男性は奥様の要望に応えて、しばしばドライバー役を引き受けて各地を訪れている様子。どちらからも「この後はどこへ?」と訊かれたが、「バス利用なので下りたら帰るだけです」と答えるばかり。北インターから歩いて来たと話すと驚いていた。他にも若いカップルや青年と挨拶を交わしたり立ち話などで、楽しい時間が流れていった。
 展望台の下あたりに山名標と山頂三角点がある。

 この季節には珍しい刷毛で描いたような雲だ。休館のフラワーセンターを覗き込んでズームで寄ってみた。

 境内に座り込んで遅い昼食をすませてゴリラ岩を振り返り、山門近くの美しい千手観音を拝して下山にかかる。

4.裏参道を下山

 復路は裏参道を歩くことにして、トイレ前を横切って東側の細道へ出る。

 観音堂の下を通過したところに子授け観音像。観音様の後ろの甕(かめ)にさまざまなご利益がつまっていて、特に子授けのご利益があるとか。その先には「うさぎ岩」があり、「どこが兎なのかな」とつぶやいていたら、通りがかりの若い女性が「ほらほら、あそこが兎じゃないですか」と指をさす。確かに、そんな気がしてきた。

 すぐ先に「かえる岩」。これは何となくそのようにも・・・。松のフレームに小細島が入ってくると、表参道駐車場まで500mとなった。

 三和ドックが見えるあたりから、斜め下に八栗寺の屋根が美しい。今回はこの位置から参拝することに。

 三丁石へ戻ってきた。ここで石仏群とはお別れだ。

 六地蔵と仁王門に向かってゆっくり下り進む。「わたしをお忘れなく」と、何とも愛嬌あるしぐさと表情の石仏に足が止まる。「グッバイです!」

 仁王門の下の分岐では「百華園・フラワーセンター」の方へ下りて、桜の花びらを敷き詰めた道を進む。

 途中には二つの展望台があり下の展望台で小休止をとる。ジグザグの坂道を下ると平坦な道になる。

 こんなトンネルをくぐった先は百華園入口だ。

 そのまま直進すると、伝六ロードの「重井村四国八十番・国分寺」の祠のそばに出る。

 後は往路を逆にたどるだけ。一本松のそばにある菓子処中島に立ち寄ってお土産を買い、因島北IC入口バス停に帰着する。真北に白滝山があり、山頂の鐘楼と展望台がはっきり見える。