名 称

じろうきゅう

所在地

徳島県三好市・那賀町

標 高

1,930m

山行日

2016年10月15日

天 候

晴れ

同行者

なし

アクセス

JR大歩危駅からバスを乗り継いで見ノ越へ

マップ

※グリーン線は当初計画のコース。
    

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

剣山見の越バス停 10:58リフト見ノ越駅 11:07(リフト)リフト西島駅 11:22~11:25
刀掛の松 11:40剣山頂上ヒュッテ 12:00剣山頂上 12:10~12:37分岐 13:00
1,791mピーク 13:05~13:11分岐 13:14二度見展望所 13:20~13:24大剱神社 13:40~13:45
リフト・西島駅 14:01~14:06剱神社 14:45剣山見の越バス停帰着 14:52

アクセス

※参考までにJR大歩危駅~剣山見の越バス停間の経路を掲載します。
    4月18日~11月30日で、GW等特定期間以外は土日祝日のみ運行!(注)縦棒|は乗換を示します。
〔往路〕 岡山・高松方面からJR大歩危駅着 8:47 → 大歩危駅前バス停(駅すぐそば)8:56(四国交通バス)
       → 久保バス停 10:06 | 10:08(三好市市営バス)→ 剣山見の越バス停(終点)10:58
〔復路〕 剣山見の越バス停 15:10(三好市市営バス)→ 久保バス停 16:00 | 16:24(四国交通バス)
       → 大歩危駅前バス停 17:34 → JR大歩危駅発の岡山・高松行き特急 18:05

1.JR大歩危駅からリフト見ノ越駅へ

 大歩危駅で下車したとたんに遮断機が下りて、アンパンマン車両の特急南風が入ってきた。

 駅のすぐ前がバス停で、同じ列車から下車した人たちを含め十数人が待っている。国際色豊かで、金髪のカップル、中国系のグループ、ドイツ人と思われる女性、そして数人の日本人が久保行きのバスに同乗する。久保までの所要時間は70分、途中の温泉郷で数人が乗車してくる。

 久保バス停で三好市市営のマイクロバスに乗り換えて、ほぼ満員状態で50分先の見ノ越へ向かう。軽装姿が多いと思っていたら途中の菅生バス停でほぼ3分の2が下車。「モノレール!」と言いながら降りていった。森林を70分かけてめぐる奥祖谷観光周遊モノレールが大人気のようだ。

 11時前に見ノ越に到着した。時間に余裕がないので、剣山自然情報センター横を通り抜けてリフト乗り場へと急ぐ。

2.刀掛の松~頂上ヒュッテ

 西島駅までの往復チケットを買ってリフトに乗る。急いでもこの時間だけはどうしようもなく、ゆったりと身を預けて15分間の空中散歩を楽しむ。 足下にはナンゴククガイソウ、キレンゲショウマなどの案内板が立っているが、この時期には花はない。周辺の紅葉もまだ始まっていない。

 西島駅で降りるとすでに標高は1,750mで、剣山山頂までの標高差は205mだ。軽いストレッチをして出発する。

 尾根道の直登コースに取りかかると息が上がる。同じコースを5年前に歩いた時には平気だったのだが、経年劣化が進んでいるのかなぁ。

 小休止しながらも予定通り15分で刀掛の松を通過する。三叉路になっていて右に進めば大剱神社を経て山頂へ、左は一の森へと続く。

 見上げると頂上ヒュッテがはっきり確認できる。再び階段の多い尾根道コースを進んで行く。

 シラビソの変種ともいわれるシコクシラベ(四国白檜:シラビソと同種との見解もある)が、白骨化してオブジェのようになっている。以前に瓶ヶ森で見た白骨木はモミ(ウラジロモミ?)だったように思うが、シコクシラベとの違いがよく分からない。シコクシラベは標高1,700m以上の岩礫地に分布している。地元紙によれば鹿の食害による枯死が問題になり、防護ネットによる対策が進んでいるらしい。その先に元気の良い大木が見つかった。

    

 東遙か下方に山合の風景が美しい。美馬郡木屋平村あたりのようで穴吹川が流れている。さらに標高が上がるとミヤマクマザサが増えてくる。

 傾斜を深緑に彩るミヤマクマザサの原を見ながら、「剱山本宮」の扁額がかかる鳥居をくぐる。

 剣山頂上ヒュッテに到着した。外装がリニューアルされて何とも良い雰囲気になっている。しかしちょうど昼時なのに人の姿がほとんど見あたらない。

3.剣山山頂風景

 一人またひとりとヒュッテ横の階段を上って行く。上がるとすぐ右手に大きな岩があり祠がまつられている。前回はこの祠が見えないくらいガスが深かったのを思い出す。

 なるほど、こんなに青空が広がるとみんな屋外にいたいんだよねぇ。山頂に向けて木道を進んで行く。乾燥した木道歩きはとても気持ちが良い。山頂近くのベンチは満員で開放的な昼食風景が広がる。

 山頂には予定通り12時10分に到着。一等三角点と山頂標識を確認して、大勢の人の並びに連なって弁当を開く。

 次郎笈を望みながらの贅沢な昼食。離れた笹原に見えるのは剣山測候所跡である。設置は1943年(昭和18年)で、1994年に自動化により無人観測所になったが、気象観測の技術革新によって2001年に廃止されたものだ。背後にあるアーチ型の建物は2015年に建設されたエコトイレで、水洗で手洗い水も自動とか。屋根が黒いのは太陽光パネルだそうである。

 次郎笈から少し首を右に振ると手前に塔ノ丸、西方向に三嶺が見える。剣山から縦走できる三嶺だが、遠いなぁ!

4.次郎笈へ、そしてギブアップ

 今日の目標は次郎笈なので、昼食もそこそこに切り上げて行動開始。計画より2分遅れてのスタートだ。岩場にリンドウが咲いている。

 次郎笈から次々と登り返してくるハイカーに道を譲りながら、時間が過ぎて行く。加えて、ザレ場で滑りそうになりブレーキが掛かってしまう。

 気持ちばかりが急いて足ははかどらない。計画では10分で移動すべき見ノ越分岐までに20分以上もかかり、ここでタイムアウトだ。このまま続行すると帰りのバスに間に合わなくなるのは確実である。

 右折すれば大剱神社へと山頂西側をトラバースできる。しかしせめてもう少しだけでもと前進する。

 1,791mピークで立ち止まり計画を練り直す。ジロウギュウ峠まで進むことも考えたが、潔く引き返して山頂をトラバースして西島駅に出て、そこから歩いて下山することにした。ロープウェイの帰りのチケットは無駄になるが、残り時間を精一杯楽しむことにする。目を凝らすと次郎笈の山頂にいるハイカーたちがゴマ粒のように見える。ご機嫌よう、グッバイだ。

 次郎笈へ向かう大勢のグループがやってきた。通り過ぎるのを待ちながら剣山の東斜面にカメラを向ける。たくさんのシコクシラベが白骨化しているが、その根本には幼木が育っている。ゆるやかながら確実に更新を繰り返す自然の新陳代謝、その風景が目前に展開されている。

5.大剱神社~リフト西島駅

 見ノ越分岐まで戻って左折する。時刻は13時15分、時間はたっぷりある。

 二度見展望所とは面白い名前だ。ベンチに腰を下ろしているカップルの邪魔をしないよう、はじっこで風景に見入る。数分のうちに人が増えて、色づき始めた紅葉をたたえあいながら秋を味わう。大剱神社の赤い屋根と御塔石(おとうのいし・おとういし)、山頂から下り来る紅葉、そしてここで見納めの次郎笈をカメラに収める。

 大剱神社のご神体である御塔石の下に小さな祠がある。その横に小さな穴があり水が湧く。ご神体の巨岩の下から湧き出す水で「剣山御神水(つるぎさんおしきみず)」と呼ばれ、日本名水百選に選ばれている。急坂をひと登りして、大剱神社に参拝して小休止する。

 すぐ先に刀掛の松への分岐があり直進して西島駅へ向かう。西島駅まで360mの道標が立つ。

 山頂を仰げば急に秋が深まったような山の表情。やがて木の鳥居が現れる。

 西島駅に到着した。リフト待ちのハイカーたちがくつろいでいる。

6.リフト西島駅から西島神社下山路を下りる

 ハイカーたちが剱神社への下山路へと下りて行き、自分もそれに従う。西島神社の危なっかしい岩場に立つ姿も見え、今更ながら、山の楽しみ方はそれぞれだと感心する。

 この道はリンドウが多い。その隣に緑の葉の一部だけが赤に染まった不思議なもの。小豆ほどの黄色の小さな花は何か分からない。花期が8〜9月のミヤマアキノキリンソウは枯れかかった花をつけている。

 西島神社の岩場に差しかかるが岩登りはパス。見ノ越までは1,780mの道と1,180mの道に分岐していて、短い方のルートに下りて行く。

 緩やかな道をリフトの架線と平行するように下る。リフトが見える一角もある。

 見ノ越が近づいたあたりで、リフト下のトンネルをくぐる。

 行く手正面に神社が現れ参拝する。その真下にはコンクリートの水槽が設置されていて、何本もの取水用ホースが取り付けられている。

 きちんと並んだ竹製ストックの置き場を過ぎると剱神社境内に出た。今日の山行の無事を感謝して参拝する。

 剱神社からの長い石段を下りると駐車場だ。付近の店でお土産と缶ビールを買ってバスに乗る。